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「あぁぁぁぁぁぁぁーっっ!!」
貯蔵庫にエルスールの叫びが響く。
そして直後、ごふっという鈍い音とともに、彼女は口から大量の血を吐いた。
「お前も悪魔のくせに、なぜ人間に味方する?悪魔は悪魔同士、手を結ばないとダメじゃないか」
形のいい額にサラサラと漆黒の髪がこぼれる。
優しい目で、優しい声音で、エルスールに突き立てた手を抉るように動かすと、一気に体から引き抜いた。
「う…ぅ…」
エルスールの苦しげに折り曲げた体から、じわじわと赤い血だまりが広がっていく。
ルシファーは指についた血液を綺麗に舐めとると、彼女の胸倉を掴んで立ち上がらせた。
「仲間になるか?こんな人間なんて捨て置いて、オレの側に居ると誓うのならばその命、もう一度だけ助けてやろう」
「断、る…」
エルスールは肩で大きく息をつきながら、切れ切れにだが答える。
「私の命は…トレ、ルのもの、だ」
「そうか、それは残念だ」
ルシファーは掴んでいたその手を突如離した。
ドサリとエルスールの体が床に崩れる。
もうグッタリとして動かなかった。
その姿を見て笑みを浮かべたルシファーは、次にトレルへ挑発的な視線を向けた。
「無力を嘆くがいい…人間は所詮、悪魔には敵わないんだよ。弱い分際でオレに刃向かうから、こんなことになる。愛しいものが目の前で死んでいく様を見るのは、どんな気分だい?悲しい…それとも憎いか…」
美しいまでの笑顔を向けて、ルシファーは彼に問いかける。
「…い」
トレルは必至に声を絞りだす。
「…いよ…」
「ん…何だって?聞こえないな」
「…憎いって言ってんだよっ!!」
ギッと彼は眼の前の悪魔を睨みつけた。
「ふぅん、あれだけ痺れてたのに、もう話せるんだ…」
ルシファーは面白いおもちゃを見つけたといわんばかりの、嬉しそうな顔をした。
貯蔵庫にエルスールの叫びが響く。
そして直後、ごふっという鈍い音とともに、彼女は口から大量の血を吐いた。
「お前も悪魔のくせに、なぜ人間に味方する?悪魔は悪魔同士、手を結ばないとダメじゃないか」
形のいい額にサラサラと漆黒の髪がこぼれる。
優しい目で、優しい声音で、エルスールに突き立てた手を抉るように動かすと、一気に体から引き抜いた。
「う…ぅ…」
エルスールの苦しげに折り曲げた体から、じわじわと赤い血だまりが広がっていく。
ルシファーは指についた血液を綺麗に舐めとると、彼女の胸倉を掴んで立ち上がらせた。
「仲間になるか?こんな人間なんて捨て置いて、オレの側に居ると誓うのならばその命、もう一度だけ助けてやろう」
「断、る…」
エルスールは肩で大きく息をつきながら、切れ切れにだが答える。
「私の命は…トレ、ルのもの、だ」
「そうか、それは残念だ」
ルシファーは掴んでいたその手を突如離した。
ドサリとエルスールの体が床に崩れる。
もうグッタリとして動かなかった。
その姿を見て笑みを浮かべたルシファーは、次にトレルへ挑発的な視線を向けた。
「無力を嘆くがいい…人間は所詮、悪魔には敵わないんだよ。弱い分際でオレに刃向かうから、こんなことになる。愛しいものが目の前で死んでいく様を見るのは、どんな気分だい?悲しい…それとも憎いか…」
美しいまでの笑顔を向けて、ルシファーは彼に問いかける。
「…い」
トレルは必至に声を絞りだす。
「…いよ…」
「ん…何だって?聞こえないな」
「…憎いって言ってんだよっ!!」
ギッと彼は眼の前の悪魔を睨みつけた。
「ふぅん、あれだけ痺れてたのに、もう話せるんだ…」
ルシファーは面白いおもちゃを見つけたといわんばかりの、嬉しそうな顔をした。
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