上 下
234 / 291
scene 12

13

しおりを挟む
「じゃあ、リンダさん、頼みますよ。」

「わかりました。
でも、なにかあったら、すぐに来て下さいよ。」

「大丈夫です。
私達がここで見守ってますから。」



「エルスールさ~ん!エルスールさ~ん!」

リンダは暗い裏山をエルスールの名を呼びながら歩く。



「リンダ!どうしたんだ、こんな所に…」

「あ…!エルスールさん…
やっぱり、まだルシファーを探して下さってたんですね。」

「あ…あぁ、まぁな。」

「さっきはすぐに出て行かれたし、おなかが減ってらしゃるんじゃないかと思いまして…」

リンダはエルスールにバスケットを手渡した。



「そうだったのか…すまなかったな。」

「エルスールさん、明日になったらまた私達も探しますから、無理はしないで下さいね。」

「あぁ、ありがとう。
暗いから気を付けて帰ってくれよ。」

「はい。私は大丈夫です。」







「エルスール、誰だった?」

「リンダだ。
食べるものを持って来てくれた。」

「やったーーー!
ボク、おなかがぺこぺこだったんだ!」

「おかしいですね。
なぜ、その人はエルスールがここにいることを知ってたんでしょう?」

「ここは農場からは近いからじゃないか。
私がルシファーを探してると思ってたようだ。」

「イアン牧師、リンダは農場に働いてる人で、特にあやしい人じゃない。
彼女は大丈夫だ。」

「そうですか…なら、良いんですが…」

「イアン、ルシファーのことでちょっと神経が高ぶってるんじゃないか?
そんなに神経質になってたら身体がもたないよ。」

「そうですね…
あと数日あるのですから、緊張し過ぎてもよくありませんね。
では、いただきましょうか。」

「食べ物を見たら、急に腹が空いて来たよ。」

皆は、リンダの持って来た食べ物に手を付けた。



「これはうまい!」

「そういえば、ここの所、ほとんど食べてませんでしたね。」

「リンダは料理がうまいからな。」

しばらくすると、リンダの手料理に舌鼓を打っていた四人の手が急に止まった。




「な、なんか、おかしくないか…」

「これは…しびれ薬…」

「そ…そんな…
なぜ、リ…ンダが…」

身体の自由を奪われ、言葉さえうまく喋れなくなった時、洞窟内に男達が雪崩込んで来た。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

テイマー勇者~強制ハーレム世界で、俺はとことん抵抗します~

つづれ しういち
ファンタジー
 ある日異世界に落とされた日向継道(ひゅうが・つぐみち)は、合気道を習う高校生。目を覚ますと、目の前にはいやにご都合主義の世界が広がっていた。 「あなたは、勇者さまですわ」「私たちはあなたの奴隷」「どうか魔王を倒してください」  しかも期限は一年だという。  チートやハーレムの意味ぐらいは知っているが、それにしてもここははひどすぎる。とにかく色んな女たちが、無闇やたらに寄ってくるんだ。その上なぜか、俺には人を問答無用で自分の奴隷にする能力「テイム」があるのだという。そんなことがあっていいのか。断固、拒否させていただく!  一刻も早く魔王を倒して、リアルの世界へ戻らねば……! ※つづれしういちによる「アルファポリス」での連載です。無断転載はお断りします。 ※チートとハーレム好きな方にはお勧めしません。ブラウザバックをお願いします。 ※冒頭、いじめのシーンがあります。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時連載しています。

異世界子ども食堂:通り魔に襲われた幼稚園児を助けようとして殺されたと思ったら異世界に居た。

克全
児童書・童話
両親を失い子ども食堂のお世話になっていた田中翔平は、通り魔に襲われていた幼稚園児を助けようとして殺された。気がついたら異世界の教会の地下室に居て、そのまま奴隷にされて競売にかけられた。幼稚園児たちを助けた事で、幼稚園の経営母体となっている稲荷神社の神様たちに気に入られて、隠しスキルと神運を手に入れていた田中翔平は、奴隷移送用馬車から逃げ出し、異世界に子ども食堂を作ろうと奮闘するのであった。

天職が『盗賊』という理由で追放されました。盗みを極めし男はやがて魔王と呼ばれる

こたろう文庫
ファンタジー
王国の勇者召喚により異世界に連れてこられた中学生30人。 その中の1人である石川真央の天職は『盗賊』だった。 盗賊は処刑だという理不尽な王国の法により、真央は追放という名目で凶悪な魔物が棲まう樹海へと転移させられてしまう。 そこで出会った真っ黒なスライム。 真央が使える唯一のスキルである『盗む』を使って盗んだのはまさかの・・・

人生負け組のスローライフ

雪那 由多
青春
バアちゃんが体調を悪くした! 俺は長男だからバアちゃんの面倒みなくては!! ある日オヤジの叫びと共に突如引越しが決まって隣の家まで車で十分以上、ライフラインはあれどメインは湧水、ぼっとん便所に鍵のない家。 じゃあバアちゃんを頼むなと言って一人単身赴任で東京に帰るオヤジと新しいパート見つけたから実家から通うけど高校受験をすててまで来た俺に高校生なら一人でも大丈夫よね?と言って育児拒否をするオフクロ。  ほぼ病院生活となったバアちゃんが他界してから築百年以上の古民家で一人引きこもる俺の日常。 ―――――――――――――――――――――― 第12回ドリーム小説大賞 読者賞を頂きました! 皆様の応援ありがとうございます! ――――――――――――――――――――――

俺、異世界で嫌々勇者やってます

毛穴翔太
ファンタジー
 ある日、主人公の相模泰斗は異世界に勇者として召喚された。  そんな彼が初めて出会った異世界人は、ターニャ王国王女エリーシアだった。

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

やがて最強になる結界師、規格外の魔印を持って生まれたので無双します

菊池 快晴
ファンタジー
報われない人生を歩んできた少年と愛猫。 来世は幸せになりたいと願いながら目を覚ますと異世界に転生した。 「ぐぅ」 「お前、もしかして、おもちなのか?」 これは、魔印を持って生まれた少年が死ぬほどの努力をして、元猫の竜と幸せになっていく無双物語です。

処理中です...