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scene 11

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 「では、アリア、リンク、よろしく頼みましたよ。」

「あぁ、まかしときな!
あんたはゆっくり休んで早く元気になるんだぞ!」

アリアの肩に乗って、教会を出るリンク達を見送りながら、イアンはまたベッドに横になった。



(あの姿で『アリア』はいけませんね。
今度、新たな名前を考えてやらなくては…)



とにかく、あの二人に任せておけばなんとかなる。
今は、自分の身体を治すことに専念するしかないのだと、イアンは自分に言い聞かせていた。
本心はそうではなかったが、今の自分の体力ではどうしようもないのだから…



(私も年を取り過ぎました…
私が生きてるうちに、ルシファーのことをなんとかしなければ…)



先程飲んだ薬が効いて来たのか、イアンは静かに眠りに就いた。







「しかし、びっくりさせてくれるよ。
あんたが、悪魔…しかも男だったなんてな!」

「私も一生、この姿に戻ることはないと思っていた。
ずっと、人間として…女性として生きていくのだと…」

「なんだって、女性になんか姿を変えてたんだ?」

「それは…私の安全のため。」

「安全?」



「そう…
悪い悪魔に、実体を乗っ取られないため…」



「誰だ!!」



不意に聞こえた声に振り返った途端、アリアの顔色が変わった。



「久しぶりだな…アルヴィン…」


アリアは、顔をひきつらせ、脂汗を流して動けないでいる。



「アリア!どうしたんだ!
アルヴィンっていうのが、あんたの本当の名前なのか?
あいつは誰なんだ?」

「……よく口の回るリュタンだな。
アルヴィンは具合が悪そうだから、オレが代わりにその質問に答えてやろう。
そいつの名はアルヴィン。
昔、ある高位悪魔の手下だった者だ。
相当な悪だぞ。
しかし、ある時、その高位悪魔が自分の実体を器に使おうとしていることに気が付いた。
自分の命が惜しくなったそいつは、事もあろうにコンジュラシオンに助けを求めた。
今後、悪事は働かない事、悪魔の姿や力の全てを封じこめられることを承諾する代わりに、その悪い悪魔から守ってほしいとな…
そうして、そいつは人間の女に姿を変え、高位悪魔はその単純なトリックにすっかり欺かれてしまったということだ。
からくりのすべてを知った高位悪魔は、今、さぞかしはらわたが煮え繰り返っていることだろうな…」

アリアは、息をすることさえ苦しそうに、その場にくずおれ、それと同時にリンクもアリアの肩から滑り落ちた。
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