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*
「もう回復は見込めないみたいですね」
イアンは小さなタメ息をついた。
「そんなこと言うなよ、もう少しすれば…それに、アレはイアンじゃないと使いこなせないんだし」
イアンのベッドの枕元にちょこんと座ったリンクが、困った顔で老人をなだめる。
「まさか健康が取り柄の私が、病に倒れるとは誰が想像したでしょうね」
「思い込みだよ、病は気からって言うじゃないか!!らしくない」
「年ですかね…」
コホコホと咳きこみながら、力なく老人は笑った。
「あれからオルジェたち、どうなったのかな…」
リンクがポツリと呟く。
「そうですね、私もずっと気になっています…仕方ありません。本当は頼みたくはなかったんですが…アリアを呼んできて下さい」
「アリアさんを?」
「えぇ」
イアンに言われ、リンクは庭仕事をしているアリアの元へと走って行った。
*
街は夜だというのに、大勢の見物人や出店で賑わっている。
(この流星群の意味するものが何なのかも知らずに…人間とは呑気な生き物だな)
ルシファーはクスッと笑う。
誰も彼が裸足で歩いていることに気づきもしない。
この人ゴミに紛れて動けば、コンジュラシオンと言えども追跡は不可能というものだ。
その時、
「お兄さん、ちょっとそこのキレイなお兄さんってば!!」
露天の小太りなおばさんが声をかけてきた。
「オレのことか?」
ルシファーが自分の顔を指差すと、彼女は大きく頷いて手招きをする。
彼は言われるままに、店の方へと近づいていった。
「もう回復は見込めないみたいですね」
イアンは小さなタメ息をついた。
「そんなこと言うなよ、もう少しすれば…それに、アレはイアンじゃないと使いこなせないんだし」
イアンのベッドの枕元にちょこんと座ったリンクが、困った顔で老人をなだめる。
「まさか健康が取り柄の私が、病に倒れるとは誰が想像したでしょうね」
「思い込みだよ、病は気からって言うじゃないか!!らしくない」
「年ですかね…」
コホコホと咳きこみながら、力なく老人は笑った。
「あれからオルジェたち、どうなったのかな…」
リンクがポツリと呟く。
「そうですね、私もずっと気になっています…仕方ありません。本当は頼みたくはなかったんですが…アリアを呼んできて下さい」
「アリアさんを?」
「えぇ」
イアンに言われ、リンクは庭仕事をしているアリアの元へと走って行った。
*
街は夜だというのに、大勢の見物人や出店で賑わっている。
(この流星群の意味するものが何なのかも知らずに…人間とは呑気な生き物だな)
ルシファーはクスッと笑う。
誰も彼が裸足で歩いていることに気づきもしない。
この人ゴミに紛れて動けば、コンジュラシオンと言えども追跡は不可能というものだ。
その時、
「お兄さん、ちょっとそこのキレイなお兄さんってば!!」
露天の小太りなおばさんが声をかけてきた。
「オレのことか?」
ルシファーが自分の顔を指差すと、彼女は大きく頷いて手招きをする。
彼は言われるままに、店の方へと近づいていった。
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