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 「ママ~~!
早く、早く~っっ!」

「ルシファー、そんなに走っちゃ危ないわよ。」



草原を走るルシファー…そして、それを追いかけるケイト。

あれから数ヶ月が過ぎ、ケイトもようやく落ちつきと健康を取り戻した。

今のこの生活はとても穏やかで…
以前の出来事がまるで嘘のようだ。

農場の女主人もルシファーのことを自分の孫のように可愛がり、ケイトやエルスールにもとてもよくしてくれた。

人間と変わりなく毎日汗水をたらして働く生活にもすっかり慣れている自分のことを、エルスールは少し誇らしく、その反面気恥ずかしくも考えていた。



(このままずっとここで暮らすのも良いかもしれない…
ケイトやルシファーと一緒に。
そして、私はトレルの子を…)



そんな空想をしてしまう自分に、エルスールは顔を赤らめた。



(馬鹿馬鹿しい…!
悪魔と人間の間に子供など出来るものか…)







「おい…アズラエル、スィーク・レノっていうのはまだ遠いのか?」

「だから、最初から遠いと言ったじゃないか。
私一人ならすぐに行けるのだが、道案内がいなくては場所がわからないだろう?
そのために私はわざわざこういうまどろっこしい手段で旅をしているんだぞ。
感謝してくれよ。」

「それにしても、こんなに時間がかかってしまって、ケイト達は大丈夫なのか?」

「大丈夫でも大丈夫じゃなくても、すぐに行けるわけじゃないんだ。
仕方がないじゃないか…
ま、トレルの愛しい悪魔がそばにいてくれるから、たいがいのことは大丈夫だと思うけどな。」

「エルスールは強いからなぁ…
彼女がついててくれたら、安心だな。」

「実をいうと、もうスィーク・レノはすぐ近くなんだ。
あと一日か二日で着く。」

「やったぜ!」

「なんだ、なんだ、ランディ、そんなにケイトに会いたいのか?」

「あぁ、今すぐ飛んで行きたいほどにな!」







「ケイト、ルシファーはどうした?」

「さっきまで表で遊んでたはずだけど…」

「表にはいなかったぞ。」

「どこにいったのかしら?あたし、ちょっと見てくる。」



「あ!リンダさん、ルシファーを見ませんでしたか?」

「あぁ、ルシファーならさっきそこのぬかるみで転んだんで、奥様がお風呂に入れるって連れていきましたよ。」



その時、ただならぬ女の絶叫が響き渡った…!!

 
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