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「さっきは助かりました。
ありがとうございます。」

「なぁに、たいしたことじゃないさ。
ただ、ルシファーがここへ連れて来たということは、ここでなにかをしようとしていたことは間違いない。
そのうち、なんらかの行動を起こすかもしれないな。」

「行動を…って…大丈夫なんですか?!」

「安心しろ、私がついてる。
とにかく、今は、『時期を待つ』と言ってその場をしのぐしかないな。
いつまで滞在することになるかわからんが…
この村に宿屋なんてものはなさそうだな。」

その後、オルジェとアズラエルが村の状況を調べに行った。



「なんだか、あの男、ムシが好かない。」

アズラエルの後姿をみつめながら、エルスールが呟く。



「そう言うな。
俺を助けてくれた恩人だぞ。」

「しかし、あんなにすぐにオルジェやケイトを手懐けるなんて、胡散臭いと思わないのか?」

「奴は大人だからな。
オルジェもケイトもまだ子供だ。
ああいうタイプにはつい頼ってしまうんじゃないのか…」

「そういうものなのか…
それにしても、そんな子供が子供を産むとはな…
……トレル……おまえも子供が欲しいなんて考えたことはあるのか?」

「こ、子供…?
そ、そんなもの、いらない。
俺はおまえがいてくれればそれだけで…」

「……相変わらず、口のうまい男だな…」



夕刻近くになって、オルジェとアズラエルが戻った。



「仕事をみつけてきたぞ!
農場の下働きなんだが、離れを貸してもらえることになった。」

「えーーーーっっ!農場の下働き?」

「ぶつくさ言うな!
宿屋がないんだから、仕方がないじゃないか。
それに、賃金ももらえるし、野菜も食べ放題だぞ!」

「野菜って……」

「さぁ、そうと決まればすぐに発とう。
村外れだからそこそこ遠いぞ!」

 皆は農場を目指して歩き始めた。



「そういえば、この村にはオルジェの知りあいがいるんじゃなかったのか?」

「あぁ、それなら、その知り合いが引っ越していなくなってたそうだ。」

「私はオルジェに聞いたのだ。」

「それはすまなかったな。」

「エルスール、アズラエルさんの言う通りなんだ。
それで、農場をあたった。」

「……そうか…」

 
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