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scene 10

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「それが良いだろう…
そんなことを言われたら、彼女がどれほど傷つくか…
まして、今は子供が出来て精神的に不安定な時期だ。
本当のことを知ったら、彼女がどうなるかわからん。
ルシファーのことは、誰にも言うな。
トレルにもだ。
それがみんなにとって一番良い事だ。」

「……わかりました。」

「それで…トレルのことなんだが、もう心配はないと思うが、念のために二人っきりになったら、カマをかけてみてくれ。
『今は、誰もいないからルシファーと呼んで良いんだぞ』とかなんとか。」

「えっ!そんなことを…?」

「万一…ということがあるからな。
では、トレルを呼んで来るから頼んだぞ。」

「はい!」

(さすがにアズラエルさんは用心深いんだな…)



「ケイト、トレルの様子はどうだ?」

「あぁ、アズラエル…気分は上々だ。」

「なんだ、起きてたのか…あんまり無理はするなよ。
ケイト、そろそろ、食料の買い出しにでも行こうか?」

「あ…そうですね。」

「じゃ、外で待っててくれ。俺もすぐに行くから。」


ケイトが出ていくのを確認すると、アズラエルはトレルの耳にそっと何事かを囁いた。



「ケイト、じゃ、行こうか。
オルジェ、俺はケイトと食料を調達してくる。
トレルのことは頼んだぞ。」

「はい、アズラエルさん。」

「オルジェ、身体の方は大丈夫なのか?」

「何言ってんだ!病み上がりはそっちの方だろ!」

「俺はもう大丈夫さ。」

「トレル……今は二人っきりだ。
『ルシファー』と呼んで良いんだぞ。」

「ルシファー…??
なんだそれ、おまえ、熱でもあるのか?」

「大丈夫だ。今はそんな芝居をする必要はない。
心配するな。」

「オルジェ…おまえ…!!
まさか、悪魔にのっとられているのか!」

トレルが突然立ちあがり、オルジェに掴みかかる。

「ま、待て!そうじゃないんだ!」

「お前、何者なんだ!正体を現せ!!」

「ま、ま、待てってば!!」

トレルの手をどうにかふりほどき、オルジェはトレルをなだめる。

「聞いてくれ!
今のは芝居だ!
アズラエルさんに頼まれたんだ。」

「アズラエルに…?」

オルジェは、アズラエルに言われたことをトレルに話した。

 
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