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単語「じゃあな、悪く思うなよ!」
男は姉から頼まれた麻袋の口を開き、黒猫を放った。
(……どこだ、ここは……)
まるで見覚えのない山道に取り残されたトレルは、あたりを見回す。
男の荷馬車はあっという間にもうずいぶんと離れた所まで走り去っていた。
(……どんどんひどい状況になっていくな…)
ここがどこなのか、どうやったらランディの家に戻れるのかまるでわからない状況に、深いトレルは溜め息を吐いた。
もうなにかを考える意欲すらなくなってしまった。
トレルの意思力がふっと緩んだ時に、猫の意識がトレルの意識を押しこめた。
(好きにするが良いさ…)
トレルはそのまま眠るように意識を無くしていった。
*
なんとなく、身体に力のような物が甦っている感覚を覚え、トレルは目を覚ました。
あたりはもう暗くなっており、身体の主である黒猫はトレルが眠ってる間になにかを獲って食べたらしく、腹と共に心も満たされているようでぐっすりと眠り込んでいた。
(そういえば、最近、ロクに食べてなかったな。
そうはいっても、さすがにナマモノは食べられないもんな。)
食べるのは自分ではないとはいえ、餌物を獲って生で食べる事にはやはり精神的に抵抗があるもの。
トレルが猫の意識を支配していた間は、草のようなものしか口にはしていなかったのだ。
猫の身体に宿るという事はやはり相当に無理がある。
しかし、ここから出ることはトレルにはなかなか出来ないこと。
それよりも、もしこの身体の本来の持ち主であるこの黒猫が死んでしまったらどうなるのか?!
そんなことを考えると、トレルはどうしようもない不安にかられた。
(本当に絶望的な状況だな…)
暗い山道をゆっくりと歩いてまわる…
猫の目というのは暗い所でもこんなによく見えるものなのかと、つまらないことに驚きながら歩いているうちに、トレルは小さな明かりをみつけた。
明かりに近づいていく毎になんともいえないいやな匂いを感じる。
血の匂いだ…!
誰かが動物でも殺したのか?
トレルは、密やかに明かりのそばに近寄り、草むらの中からその場の状況をそっとのぞき見る…
男は姉から頼まれた麻袋の口を開き、黒猫を放った。
(……どこだ、ここは……)
まるで見覚えのない山道に取り残されたトレルは、あたりを見回す。
男の荷馬車はあっという間にもうずいぶんと離れた所まで走り去っていた。
(……どんどんひどい状況になっていくな…)
ここがどこなのか、どうやったらランディの家に戻れるのかまるでわからない状況に、深いトレルは溜め息を吐いた。
もうなにかを考える意欲すらなくなってしまった。
トレルの意思力がふっと緩んだ時に、猫の意識がトレルの意識を押しこめた。
(好きにするが良いさ…)
トレルはそのまま眠るように意識を無くしていった。
*
なんとなく、身体に力のような物が甦っている感覚を覚え、トレルは目を覚ました。
あたりはもう暗くなっており、身体の主である黒猫はトレルが眠ってる間になにかを獲って食べたらしく、腹と共に心も満たされているようでぐっすりと眠り込んでいた。
(そういえば、最近、ロクに食べてなかったな。
そうはいっても、さすがにナマモノは食べられないもんな。)
食べるのは自分ではないとはいえ、餌物を獲って生で食べる事にはやはり精神的に抵抗があるもの。
トレルが猫の意識を支配していた間は、草のようなものしか口にはしていなかったのだ。
猫の身体に宿るという事はやはり相当に無理がある。
しかし、ここから出ることはトレルにはなかなか出来ないこと。
それよりも、もしこの身体の本来の持ち主であるこの黒猫が死んでしまったらどうなるのか?!
そんなことを考えると、トレルはどうしようもない不安にかられた。
(本当に絶望的な状況だな…)
暗い山道をゆっくりと歩いてまわる…
猫の目というのは暗い所でもこんなによく見えるものなのかと、つまらないことに驚きながら歩いているうちに、トレルは小さな明かりをみつけた。
明かりに近づいていく毎になんともいえないいやな匂いを感じる。
血の匂いだ…!
誰かが動物でも殺したのか?
トレルは、密やかに明かりのそばに近寄り、草むらの中からその場の状況をそっとのぞき見る…
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