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(しかし、ランディは一体どうなったんだ?
まるで、自分の心を失ったような瞳をしていた…
もしかしたら、彼も、俺みたいにオルジェに魂と身体を引き離されたのか?
ケイトももうユフィルから戻ってるはずだが、無事なんだろうか?
リュタンは…?
そうだ!イアン牧師はどうしたんだろう?)
トレルの心の中には、さらに大きな不安がこみあげて来たが、今はどうすることも出来ない。
しばらくはここで機会を待ち、隙を見て家の中へ入ってみようとトレルは決めた。
入った所で、黒猫の身体では意志の疎通をはかれるはずもないのだが、それでもトレルは諦めなかった。
トレルが庭の片隅にじっと身を潜めていると、メアリーが洗濯ものの入ったバスケットを抱えて出てくるのが見えた。
それと入れ替わりに家の中へ入りこもうとしたが、メアリーにみつかり危うく石をぶつけられそうになった。
その後もなかなか好機には恵まれず、トレルは数日をランディの家の庭で過ごすことになってしまった。
(おかしい…
こんなに何日もケイトもオルジェもまるで姿を見せないなんて…
やっぱり、ケイトもランディのようにされてしまったのか?
だが、朝の散歩にも連れていってもらえないのはなぜだ?
ランディの父親なら、きっとランディだけを散歩に連れて行くなんてことはしないと思うんだが…
もしかしたら、ケイトはイアンがユフィルに連れて帰ったんだろうか?)
「あ…!」
考え事をしているうちに、トレルは自分の身体に袋が被されたことに気が付いた。
慌ててもがくが、麻袋は強くまるで出られない。
「ほうら、捕まえましたよ!」
「メアリーさん、なにもそこまでやらなくても良いじゃありませんか!」
「旦那さん、そんなことを言ってるから坊っちゃんの身体が良くならないんですよ。
黒猫が住み着くなんて、縁起でもない!」
「わかりましたよ。
しかし、メアリーさん、その猫にひどいことは絶対にしないで下さいよ。
遠くに連れていくだけにして下さい。」
「わかってますよ、旦那さん。
私だって、そんな非情な女じゃありませんよ。
ちょうど弟が遠くの町まで商売に行くんで、弟に言って遠くに連れていかせようと思ってたんです。」
「そうですか…」
メアリーは黒猫の入った麻袋を持って出掛けて行った。
まるで、自分の心を失ったような瞳をしていた…
もしかしたら、彼も、俺みたいにオルジェに魂と身体を引き離されたのか?
ケイトももうユフィルから戻ってるはずだが、無事なんだろうか?
リュタンは…?
そうだ!イアン牧師はどうしたんだろう?)
トレルの心の中には、さらに大きな不安がこみあげて来たが、今はどうすることも出来ない。
しばらくはここで機会を待ち、隙を見て家の中へ入ってみようとトレルは決めた。
入った所で、黒猫の身体では意志の疎通をはかれるはずもないのだが、それでもトレルは諦めなかった。
トレルが庭の片隅にじっと身を潜めていると、メアリーが洗濯ものの入ったバスケットを抱えて出てくるのが見えた。
それと入れ替わりに家の中へ入りこもうとしたが、メアリーにみつかり危うく石をぶつけられそうになった。
その後もなかなか好機には恵まれず、トレルは数日をランディの家の庭で過ごすことになってしまった。
(おかしい…
こんなに何日もケイトもオルジェもまるで姿を見せないなんて…
やっぱり、ケイトもランディのようにされてしまったのか?
だが、朝の散歩にも連れていってもらえないのはなぜだ?
ランディの父親なら、きっとランディだけを散歩に連れて行くなんてことはしないと思うんだが…
もしかしたら、ケイトはイアンがユフィルに連れて帰ったんだろうか?)
「あ…!」
考え事をしているうちに、トレルは自分の身体に袋が被されたことに気が付いた。
慌ててもがくが、麻袋は強くまるで出られない。
「ほうら、捕まえましたよ!」
「メアリーさん、なにもそこまでやらなくても良いじゃありませんか!」
「旦那さん、そんなことを言ってるから坊っちゃんの身体が良くならないんですよ。
黒猫が住み着くなんて、縁起でもない!」
「わかりましたよ。
しかし、メアリーさん、その猫にひどいことは絶対にしないで下さいよ。
遠くに連れていくだけにして下さい。」
「わかってますよ、旦那さん。
私だって、そんな非情な女じゃありませんよ。
ちょうど弟が遠くの町まで商売に行くんで、弟に言って遠くに連れていかせようと思ってたんです。」
「そうですか…」
メアリーは黒猫の入った麻袋を持って出掛けて行った。
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