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scene 9
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(確かこっちだったはずだな…)
黒猫の視界は、人間だったトレルのものとは違う。
しかも、時々、黒猫の意識が強まり、トレルの意識が押さえ込まれてしまうことがある。
そんなことから、ランディの家まではすぐ近くのはずなのになかなかたどり着けないでいた。
(しかし、なぜオルジェがあんなことを…
そうだ!あいつはオルジェなんかじゃない!
あいつは、まだ悪魔に身体をのっとられたままなんだ!
皆はそのことに気づいているのか?
それに俺の身体は…俺の意識が身体から引き離されて、身体の方はどうなってるんだ?!)
考えれば考えるほど、焦りと不安は大きくなっていく。
(早く、みんなの所へ行かなければ…!!)
*
「ランディ、今日もとても良い天気だぞ。」
車椅子に乗せられたランディは、父のその言葉にも何の反応も示さない。
それでも、父は他愛ないことを一方的に語りかけながら、車椅子を押し歩いていた。
「ランディじゃないか!」
黒猫に宿るトレルがランディの側に駆け寄る。
「ランディ!どうしたんだ!
何があった?」
しかし、悲しいかな…
その言葉は当然伝わることはなく、ただの鳴き声にしか聞こえなかった。
「なんだい?
この子に何か用でもあるのかい?」
ランディの父は、黒猫の頭を優しくなでた。
「まぁ!汚らわしい!
しっしっ!あっちへお行き!!」
「メアリーさん、そんな邪険にしなくても良いじゃないですか。」
「旦那さん、いけませんよ!
黒猫は悪魔の使いだって、昔から言われてるじゃないですか!
坊っちゃまの心に乗り移られでもしたら大変です。
こらっ!あっちへお行き!!」
メアリーは、ランディの身のまわりの世話のために雇われた家政婦だ。
朝の散歩の後、ランディの父親が仕事から帰って来るまで、ほとんどつきっきりでランディの世話をしている。
メアリーに威嚇され、黒猫のトレルは草むらに逃げ込むしかなかった。
様子をうかがいながらランディ達の後ろをこっそりと尾けて行く。
(そうだ!ここだ!)
トレルはやっとランディの家をみつけることが出来た。
ところが、家の中にはあの小うるさい家政婦がいる。
見つかったら、必ず追い出されるだろうことは、トレルにもよくわかっていた。
黒猫の視界は、人間だったトレルのものとは違う。
しかも、時々、黒猫の意識が強まり、トレルの意識が押さえ込まれてしまうことがある。
そんなことから、ランディの家まではすぐ近くのはずなのになかなかたどり着けないでいた。
(しかし、なぜオルジェがあんなことを…
そうだ!あいつはオルジェなんかじゃない!
あいつは、まだ悪魔に身体をのっとられたままなんだ!
皆はそのことに気づいているのか?
それに俺の身体は…俺の意識が身体から引き離されて、身体の方はどうなってるんだ?!)
考えれば考えるほど、焦りと不安は大きくなっていく。
(早く、みんなの所へ行かなければ…!!)
*
「ランディ、今日もとても良い天気だぞ。」
車椅子に乗せられたランディは、父のその言葉にも何の反応も示さない。
それでも、父は他愛ないことを一方的に語りかけながら、車椅子を押し歩いていた。
「ランディじゃないか!」
黒猫に宿るトレルがランディの側に駆け寄る。
「ランディ!どうしたんだ!
何があった?」
しかし、悲しいかな…
その言葉は当然伝わることはなく、ただの鳴き声にしか聞こえなかった。
「なんだい?
この子に何か用でもあるのかい?」
ランディの父は、黒猫の頭を優しくなでた。
「まぁ!汚らわしい!
しっしっ!あっちへお行き!!」
「メアリーさん、そんな邪険にしなくても良いじゃないですか。」
「旦那さん、いけませんよ!
黒猫は悪魔の使いだって、昔から言われてるじゃないですか!
坊っちゃまの心に乗り移られでもしたら大変です。
こらっ!あっちへお行き!!」
メアリーは、ランディの身のまわりの世話のために雇われた家政婦だ。
朝の散歩の後、ランディの父親が仕事から帰って来るまで、ほとんどつきっきりでランディの世話をしている。
メアリーに威嚇され、黒猫のトレルは草むらに逃げ込むしかなかった。
様子をうかがいながらランディ達の後ろをこっそりと尾けて行く。
(そうだ!ここだ!)
トレルはやっとランディの家をみつけることが出来た。
ところが、家の中にはあの小うるさい家政婦がいる。
見つかったら、必ず追い出されるだろうことは、トレルにもよくわかっていた。
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