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「イアン、ランディはどうなるんだ?」
「今、お医者様がおっしゃった通りです。
こういう心の病は、時として身体の傷より厄介な場合があります。
でも、今は焦らず身体を治すことです。
身体が元気を取り戻せば心も健康になることが多いですから、それを期待することにしましょう。」
「それで、イアン、これからどうするつもりなんだ?」
「それなのですが…まさかこんな事になるとは思っていませんでしたから、とにかく一度ユフィルに戻り、教会のことを然るべき人に委ねてからまた出直すしかありません。」
「そうか…」
「あなた方はどうしますか?」
「ボク達もここにいても仕方がなさそうだ。
イアンと一緒に帰るよ。」
「おじさん……ボクはここに残ります。」
「なんだって?
でも、ここにいても…」
「ボク…ランディさんの側にいたいんです。」
「……そうか…好きにしろ。」
「教会のことが落ち着いたら、またここへ戻ってきます。
その頃には、ランディさんが少しでも回復されると良いのですが…」
*
「あ…あ…あぁ…」
暗い夜の闇の中に、ケイトの押し殺した悩ましげな声が微かに聞こえて来る。
「またか…あのオルジェって男はおまえ以上の好きものだな。」
「奴らは若いからな。
まぁ、人のことなんてどうでも良いじゃないか。
好きにさせてやれよ。」
「若くなくて悪かったな…」
*
「ケイト…大丈夫か?」
「……大丈夫よ。でも、少しだけ休ませて。」
「無理させてごめん。
でも、俺…おまえの顔見てるだけで…その…」
「無理なんてしてないわ。
でも、こんなに毎日…」
「俺がケイトを愛し過ぎてるんだな、きっと。」
「オルジェったら…」
ケイトは甘えるようにオルジェの胸に顔を埋める。
(馬鹿な女だ…
本気で愛されてると思っていやがる。
目的もなく、俺がこんなくだらないことをしていると思っているのか…)
「どうかしたの、オルジェ?」
「いや…なんでもない…
ただ…毎日が幸せ過ぎて…ケイト…おまえのおかげだよ…」
「オルジェ…私も最高に幸せよ!」
「今、お医者様がおっしゃった通りです。
こういう心の病は、時として身体の傷より厄介な場合があります。
でも、今は焦らず身体を治すことです。
身体が元気を取り戻せば心も健康になることが多いですから、それを期待することにしましょう。」
「それで、イアン、これからどうするつもりなんだ?」
「それなのですが…まさかこんな事になるとは思っていませんでしたから、とにかく一度ユフィルに戻り、教会のことを然るべき人に委ねてからまた出直すしかありません。」
「そうか…」
「あなた方はどうしますか?」
「ボク達もここにいても仕方がなさそうだ。
イアンと一緒に帰るよ。」
「おじさん……ボクはここに残ります。」
「なんだって?
でも、ここにいても…」
「ボク…ランディさんの側にいたいんです。」
「……そうか…好きにしろ。」
「教会のことが落ち着いたら、またここへ戻ってきます。
その頃には、ランディさんが少しでも回復されると良いのですが…」
*
「あ…あ…あぁ…」
暗い夜の闇の中に、ケイトの押し殺した悩ましげな声が微かに聞こえて来る。
「またか…あのオルジェって男はおまえ以上の好きものだな。」
「奴らは若いからな。
まぁ、人のことなんてどうでも良いじゃないか。
好きにさせてやれよ。」
「若くなくて悪かったな…」
*
「ケイト…大丈夫か?」
「……大丈夫よ。でも、少しだけ休ませて。」
「無理させてごめん。
でも、俺…おまえの顔見てるだけで…その…」
「無理なんてしてないわ。
でも、こんなに毎日…」
「俺がケイトを愛し過ぎてるんだな、きっと。」
「オルジェったら…」
ケイトは甘えるようにオルジェの胸に顔を埋める。
(馬鹿な女だ…
本気で愛されてると思っていやがる。
目的もなく、俺がこんなくだらないことをしていると思っているのか…)
「どうかしたの、オルジェ?」
「いや…なんでもない…
ただ…毎日が幸せ過ぎて…ケイト…おまえのおかげだよ…」
「オルジェ…私も最高に幸せよ!」
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