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「もう少し行けば村があるが、そこには立ち寄らないで山道を迂回して行こう。
出来るだけ、姿を見られない方が良いからな。」
「そうね、わかったわ。」
三人は険しい山道を進んで行った。
山の中腹あたりには、鉱物でも採掘したのか小さな洞窟があった。
「しばらくあそこで休んでいこう。
トレル、体調は大丈夫か?」
「あぁ、なんとかな。しかし、さすがに山道は疲れるな。
それはそうと……」
「どうかしたのか?」
「俺がいちゃあ邪魔なんじゃないか?
俺はどこかへ消えようか?」
「えっ?!トレル、何言ってんのよ!」
「……良いんだ、ケイト。
トレルにはイアンのことを話した時に、おまえとのことも話した。」
「えっ!?」
ケイトの頬がみるみるうちに赤く染まっていく。
「おまえには二人で逃げようって言ったけど…そうなると、イアンは俺じゃなく、トレルに悪魔をとりつかせるかもしれない。
だから、トレルにもイアンのことを話して一緒に逃げることにしたんだ。」
「俺には今でも信じられない想いだ。
あのイアン牧師が悪魔と手を組んでるなんて…
でも、オルジェがここまで真剣に言うんだ。
信じないわけにはいかないからな。」
「トレル…」
オルジェは、トレルをどこか照れくさそうな顔でみつめた。
「だけど、俺より先にケイトに話してたことを知った時には驚いたよ。
まったくひどい話だぜ。
俺よりもケイトの方を信用するなんてな。
それに堅物だと思ってたオルジェがケイトともうそんなことになってたなんてな。」
「やめろよ、トレル!」
「照れるなよ!
そういやぁ、ケイト…ランディからはどうやって宝石のありかを聞き出したんだ?
あいつ、宝石のありかについては本当に口が固かったぞ。」
「そ、それは…」
ケイトの言葉は続かず、瞳にはじんわりと涙がたまり、やがてケイトは両手で顔を覆い涙を流し始めた。
「どうしたんだ、ケイト?」
「ケイト……まさか、おまえ、ランディと…」
「えっ!?」
トレルの言葉を聞いた途端、ケイトは先程よりも激しく身体を震わせ始めた。
「そうか…ランディがおまえに気があるのを利用して、身体を餌にしたんだな!
ひどいじゃないか。
いくら、宝石のためだとはいえ、おまえ…オルジェを裏切ったんだぞ!」
「そんな…ケイト…
トレルの言ったことは……本当なのか?」
「オルジェ…ごめんなさい…」
ケイトは俯いたまま、か細い声でオルジェに詫びた。
「全く信じられない女だな!」
「トレル、やめてくれっ!」
「オルジェ…」
「ケイトは俺のために…そうか、そうだったのか……
トレル……少しの間、俺とケイトを二人っきりにしてくれ。」
出来るだけ、姿を見られない方が良いからな。」
「そうね、わかったわ。」
三人は険しい山道を進んで行った。
山の中腹あたりには、鉱物でも採掘したのか小さな洞窟があった。
「しばらくあそこで休んでいこう。
トレル、体調は大丈夫か?」
「あぁ、なんとかな。しかし、さすがに山道は疲れるな。
それはそうと……」
「どうかしたのか?」
「俺がいちゃあ邪魔なんじゃないか?
俺はどこかへ消えようか?」
「えっ?!トレル、何言ってんのよ!」
「……良いんだ、ケイト。
トレルにはイアンのことを話した時に、おまえとのことも話した。」
「えっ!?」
ケイトの頬がみるみるうちに赤く染まっていく。
「おまえには二人で逃げようって言ったけど…そうなると、イアンは俺じゃなく、トレルに悪魔をとりつかせるかもしれない。
だから、トレルにもイアンのことを話して一緒に逃げることにしたんだ。」
「俺には今でも信じられない想いだ。
あのイアン牧師が悪魔と手を組んでるなんて…
でも、オルジェがここまで真剣に言うんだ。
信じないわけにはいかないからな。」
「トレル…」
オルジェは、トレルをどこか照れくさそうな顔でみつめた。
「だけど、俺より先にケイトに話してたことを知った時には驚いたよ。
まったくひどい話だぜ。
俺よりもケイトの方を信用するなんてな。
それに堅物だと思ってたオルジェがケイトともうそんなことになってたなんてな。」
「やめろよ、トレル!」
「照れるなよ!
そういやぁ、ケイト…ランディからはどうやって宝石のありかを聞き出したんだ?
あいつ、宝石のありかについては本当に口が固かったぞ。」
「そ、それは…」
ケイトの言葉は続かず、瞳にはじんわりと涙がたまり、やがてケイトは両手で顔を覆い涙を流し始めた。
「どうしたんだ、ケイト?」
「ケイト……まさか、おまえ、ランディと…」
「えっ!?」
トレルの言葉を聞いた途端、ケイトは先程よりも激しく身体を震わせ始めた。
「そうか…ランディがおまえに気があるのを利用して、身体を餌にしたんだな!
ひどいじゃないか。
いくら、宝石のためだとはいえ、おまえ…オルジェを裏切ったんだぞ!」
「そんな…ケイト…
トレルの言ったことは……本当なのか?」
「オルジェ…ごめんなさい…」
ケイトは俯いたまま、か細い声でオルジェに詫びた。
「全く信じられない女だな!」
「トレル、やめてくれっ!」
「オルジェ…」
「ケイトは俺のために…そうか、そうだったのか……
トレル……少しの間、俺とケイトを二人っきりにしてくれ。」
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