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静かな森の中に、幼くも悩ましげなケイトの声が響く…
(なるほど、こういうことか…ついにあの女もルシファー様の手にかかったってわけか…)
少し離れた茂みの中で、リンクの入った袋を抱えたトレルが押し殺した笑いを浮かべた。
(女を手懐けるなんて簡単なもんだな。)
「ケイト…大丈夫か?
ごめんな、こんな所で…
怒ってる?」
ケイトは瞳にいっぱいの涙を浮かべたまま、ただ黙っていた。
オルジェは、ケイトの涙を指で拭う。
「ケイト…ごめん。許してくれ…
俺…自分の気持ちを押さえきれなくて…」
「……怒ってなんかないわ。
ただ…ちょっと、びっくりしただけ…」
「本当にごめん…」
「もう大丈夫だから…」
「ケイト…ありがとう。
俺は、嬉しいよ。
ケイトと結ばれて幸せだ…愛してるよ、ケイト。」
「私もよ…」
ケイトはそっとオルジェに身を寄せた。
「本当か?ランディよりもか?」
「当たり前でしょ!
ランディさんのことなんか、最初からなんとも思ってないわ。
私は昔からオルジェのことが好きだったの。
だから…後悔なんてしてない。」
「ケイト…!」
(……堕ちた…)
オルジェの口許に不敵な笑みが浮かんだことにケイトは気が付くことはなかった。
「悪魔のこともイアン牧師に聞いたわ…」
「悪魔のこと?」
「あ…あぁ、オルジェは何も心配しなくて良いのよ。
イアン牧師が必ずなんとかしてくれるから…」
「ケイト…そのことなんだけど…
実は、大変なことがわかったんだ。
……これから話すことは誰にも話さないって約束してくれるかい?」
「わかったわ。誰にも話さない。
何があったの?」
オルジェは躊躇いがちに話し始めた。
「……実は…イアン牧師のことなんだけど…
すぐには信じられないと思う…俺だって信じられなかった。
実は……イアン牧師こそが悪魔にのっとられて…いや、正しくはイアン牧師は悪魔と共存しているんだ。」
オルジェの告白に、ケイトは大きく瞳を見開いた。
「そんな馬鹿な!
イアン牧師はそんな人じゃないわ。
第一、イアン牧師は神に仕える身なのよ。
そんな人が悪魔と共存だなんて……」
「俺もなかなか信じられなかったよ。
だけど、そう考えればすべて辻褄があうんだ。
それに……奴は俺に高位の悪魔を宿そうとしている。」
「そ、そんなまさか!
牧師は立派なコンジュラシオンなのよ!
それに、どうしてそんなことがわかったの?
誰がそんなことを?」
(なるほど、こういうことか…ついにあの女もルシファー様の手にかかったってわけか…)
少し離れた茂みの中で、リンクの入った袋を抱えたトレルが押し殺した笑いを浮かべた。
(女を手懐けるなんて簡単なもんだな。)
「ケイト…大丈夫か?
ごめんな、こんな所で…
怒ってる?」
ケイトは瞳にいっぱいの涙を浮かべたまま、ただ黙っていた。
オルジェは、ケイトの涙を指で拭う。
「ケイト…ごめん。許してくれ…
俺…自分の気持ちを押さえきれなくて…」
「……怒ってなんかないわ。
ただ…ちょっと、びっくりしただけ…」
「本当にごめん…」
「もう大丈夫だから…」
「ケイト…ありがとう。
俺は、嬉しいよ。
ケイトと結ばれて幸せだ…愛してるよ、ケイト。」
「私もよ…」
ケイトはそっとオルジェに身を寄せた。
「本当か?ランディよりもか?」
「当たり前でしょ!
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だから…後悔なんてしてない。」
「ケイト…!」
(……堕ちた…)
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「悪魔のこともイアン牧師に聞いたわ…」
「悪魔のこと?」
「あ…あぁ、オルジェは何も心配しなくて良いのよ。
イアン牧師が必ずなんとかしてくれるから…」
「ケイト…そのことなんだけど…
実は、大変なことがわかったんだ。
……これから話すことは誰にも話さないって約束してくれるかい?」
「わかったわ。誰にも話さない。
何があったの?」
オルジェは躊躇いがちに話し始めた。
「……実は…イアン牧師のことなんだけど…
すぐには信じられないと思う…俺だって信じられなかった。
実は……イアン牧師こそが悪魔にのっとられて…いや、正しくはイアン牧師は悪魔と共存しているんだ。」
オルジェの告白に、ケイトは大きく瞳を見開いた。
「そんな馬鹿な!
イアン牧師はそんな人じゃないわ。
第一、イアン牧師は神に仕える身なのよ。
そんな人が悪魔と共存だなんて……」
「俺もなかなか信じられなかったよ。
だけど、そう考えればすべて辻褄があうんだ。
それに……奴は俺に高位の悪魔を宿そうとしている。」
「そ、そんなまさか!
牧師は立派なコンジュラシオンなのよ!
それに、どうしてそんなことがわかったの?
誰がそんなことを?」
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