117 / 291
scene 7
9
しおりを挟む
「じゃ、しばらく待っててくれ。」
ランディは外へ出かけるふりをして、一人、奥の部屋にこもると予ねてからの計画を実行始めた。
すでに、テーブルの上に準備はしてあった。
ランディは塩水で宝石を丁寧に洗った。
赤い宝石は、水滴を浴びてきらきらと輝いている。
ランディは、パンツを脱ぐと太股の付け根を縛り、タオルを口の中に押し込んだ。
一瞬、息を飲み、ランディは、火であぶり消毒しておいたナイフを太股に突き立てる。
声をあげそうになるのをランディは必死でこらえる。
足からは血が流れ、額には玉のような脂汗が吹き出している。
ランディは、肉を押し開くようにして、その中に赤い宝石を埋め込んだ。
(あと少しだ…)
ランディは、自分の足の傷を縫い、薬草で手当てをした。
この村には、昔から医者がいない。
そのため、この村の者は自分の傷は自分達でなんとかするしかなかった。
しかし、軽度の傷ならともかく、重症の場合は医者の所に行くしかない。
そうなると、遠い町まで運ぶ間に命を落とす者も、当然いた。
ランディの父はそんな悲劇が起こらないようにと、ある程度のことには対処の出来るように、医療の技術を覚え、家にはちょっとした薬や医療器具のようなものも揃えてあった。
ランディは、幼い頃からそんな父の姿をみているうちに、いつの間にかその技術を覚えこんでいた。
足に包帯を巻き、すべては終わった。
全身から汗が吹き出し、ランディは激しい疲労感を感じていた。
なるべく傷は小さくおさえたつもりだったが、宝石を埋め込んだせいか、思っていたよりも痛みがあった。
あの宝石は誰にも渡してはいけない!
そう思った時から、ランディはこうすることを決めてはいたが、まさかすぐに出掛けることになるとは思っていなかった。
多少、無理をすることにはなるが仕方がない…
ランディはパンツをはき直し、少し休んでからでかける準備を始めた。
「遅くなってすまなかったな。
じゃ、そろそろでかけるか?」
「……ランディ、どうかしたのか?
ずいぶんと顔色が悪いようだが…」
「なんでもない。
あんたこそ、大丈夫なのか?」
「あぁ…俺は大丈夫だ。
それで宝石は…?」
「安全な所に置いてきた。」
「どこだ?」
「それは言えない…」
ランディの毅然とした表情を見て、これ以上聞いても無駄だとトレルは悟った。
「そうか…
そこなら、本当に安全なんだな?」
「心配するな。誰にも手出しは出来ない場所だ。
じゃ、アルグ、後のことは頼んだぞ。」
二人はエルスールを探しに家を出た。
ランディは外へ出かけるふりをして、一人、奥の部屋にこもると予ねてからの計画を実行始めた。
すでに、テーブルの上に準備はしてあった。
ランディは塩水で宝石を丁寧に洗った。
赤い宝石は、水滴を浴びてきらきらと輝いている。
ランディは、パンツを脱ぐと太股の付け根を縛り、タオルを口の中に押し込んだ。
一瞬、息を飲み、ランディは、火であぶり消毒しておいたナイフを太股に突き立てる。
声をあげそうになるのをランディは必死でこらえる。
足からは血が流れ、額には玉のような脂汗が吹き出している。
ランディは、肉を押し開くようにして、その中に赤い宝石を埋め込んだ。
(あと少しだ…)
ランディは、自分の足の傷を縫い、薬草で手当てをした。
この村には、昔から医者がいない。
そのため、この村の者は自分の傷は自分達でなんとかするしかなかった。
しかし、軽度の傷ならともかく、重症の場合は医者の所に行くしかない。
そうなると、遠い町まで運ぶ間に命を落とす者も、当然いた。
ランディの父はそんな悲劇が起こらないようにと、ある程度のことには対処の出来るように、医療の技術を覚え、家にはちょっとした薬や医療器具のようなものも揃えてあった。
ランディは、幼い頃からそんな父の姿をみているうちに、いつの間にかその技術を覚えこんでいた。
足に包帯を巻き、すべては終わった。
全身から汗が吹き出し、ランディは激しい疲労感を感じていた。
なるべく傷は小さくおさえたつもりだったが、宝石を埋め込んだせいか、思っていたよりも痛みがあった。
あの宝石は誰にも渡してはいけない!
そう思った時から、ランディはこうすることを決めてはいたが、まさかすぐに出掛けることになるとは思っていなかった。
多少、無理をすることにはなるが仕方がない…
ランディはパンツをはき直し、少し休んでからでかける準備を始めた。
「遅くなってすまなかったな。
じゃ、そろそろでかけるか?」
「……ランディ、どうかしたのか?
ずいぶんと顔色が悪いようだが…」
「なんでもない。
あんたこそ、大丈夫なのか?」
「あぁ…俺は大丈夫だ。
それで宝石は…?」
「安全な所に置いてきた。」
「どこだ?」
「それは言えない…」
ランディの毅然とした表情を見て、これ以上聞いても無駄だとトレルは悟った。
「そうか…
そこなら、本当に安全なんだな?」
「心配するな。誰にも手出しは出来ない場所だ。
じゃ、アルグ、後のことは頼んだぞ。」
二人はエルスールを探しに家を出た。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
空間魔法って実は凄いんです
真理亜
ファンタジー
伯爵令嬢のカリナは10歳の誕生日に実の父親から勘当される。後継者には浮気相手の継母の娘ダリヤが指名された。そして家に置いて欲しければ使用人として働けと言われ、屋根裏部屋に押し込まれた。普通のご令嬢ならここで絶望に打ちひしがれるところだが、カリナは違った。「その言葉を待ってました!」実の母マリナから託された伯爵家の財産。その金庫の鍵はカリナの身に不幸が訪れた時。まさに今がその瞬間。虐待される前にスタコラサッサと逃げ出します。あとは野となれ山となれ。空間魔法を駆使して冒険者として生きていくので何も問題ありません。婚約者のイアンのことだけが気掛かりだけど、私の事は死んだ者と思って忘れて下さい。しばらくは恋愛してる暇なんかないと思ってたら、成り行きで隣国の王子様を助けちゃったら、なぜか懐かれました。しかも元婚約者のイアンがまだ私の事を探してるって? いやこれどーなっちゃうの!?
選ばれたのは私以外でした 白い結婚、上等です!
凛蓮月
恋愛
【第16回恋愛小説大賞特別賞を頂き、書籍化されました。
紙、電子にて好評発売中です。よろしくお願いします(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾】
婚約者だった王太子は、聖女を選んだ。
王命で結婚した相手には、愛する人がいた。
お飾りの妻としている間に出会った人は、そもそも女を否定した。
──私は選ばれない。
って思っていたら。
「改めてきみに求婚するよ」
そう言ってきたのは騎士団長。
きみの力が必要だ? 王都が不穏だから守らせてくれ?
でもしばらくは白い結婚?
……分かりました、白い結婚、上等です!
【恋愛大賞(最終日確認)大賞pt別二位で終了できました。投票頂いた皆様、ありがとうございます(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾応援ありがとうございました!
ホトラン入り、エール、投票もありがとうございました!】
※なんてあらすじですが、作者の脳内の魔法のある異世界のお話です。
※ヒーローとの本格的な恋愛は、中盤くらいからです。
※恋愛大賞参加作品なので、感想欄を開きます。
よろしければお寄せ下さい。当作品への感想は全て承認します。
※登場人物への口撃は可ですが、他の読者様への口撃は作者からの吹き矢が飛んできます。ご注意下さい。
※鋭い感想ありがとうございます。返信はネタバレしないよう気を付けます。すぐネタバレペロリーナが発動しそうになります(汗)
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
ゴミスキル『空気清浄』で異世界浄化の旅~捨てられたけど、とてもおいしいです(意味深)~
夢・風魔
ファンタジー
高校二年生最後の日。由樹空(ゆうきそら)は同じクラスの男子生徒と共に異世界へと召喚された。
全員の適正職業とスキルが鑑定され、空は「空気師」という職業と「空気清浄」というスキルがあると判明。
花粉症だった空は歓喜。
しかし召喚主やクラスメイトから笑いものにされ、彼はひとり森の中へ置いてけぼりに。
(アレルギー成分から)生き残るため、スキルを唱え続ける空。
モンスターに襲われ樹の上に逃げた彼を、美しい二人のエルフが救う。
命を救って貰ったお礼にと、森に漂う瘴気を浄化することになった空。
スキルを使い続けるうちにレベルはカンストし、そして新たに「空気操作」のスキルを得る。
*作者は賢くありません。作者は賢くありません。だいじなことなのでもう一度。作者は賢くありません。バカです。
*小説家になろう・カクヨムでも公開しております。
アネンサードの人々
buchi
ファンタジー
アネンサードとは、すでに滅びたと信じられている異能の人種の呼び名。教会は何百年もかけて彼らを追い詰め、彼らが生きた痕跡を抹殺した。そんなものはおとぎ話に過ぎないと。
中世の面影を色濃く残すその時代、国一番の公爵家の御曹司フリースラントは、自分の異能に疑問を持ち、伝説の人々の最期の足跡が残る街、レイビックを目指す旅に出る。
一国の滅びと復興、ヒロイズムと殺戮が混ざるダークファンタジー。主人公が巻き込まれていく運命の答えは最後まで読まないとわからない、起承転結のある物語です。約65万字。185話。男女向けは不明。
第二部では、フリースラントはレイビックで金山を見つけ大富豪になり、レイビック伯爵を名乗ります。
地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件
フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。
だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!?
体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。
血の魔法使いは仲間を求める
ロシキ
ファンタジー
そこは魔術師と魔術師よりも圧倒的に珍しく魔術師よりも強い魔法使いが居る世界。
そんな世界で前世を覚えている公爵家の青年は、婚約を破棄され人が一人も居ないような魔境に飛ばされる。
その青年は仲間に会いたかった。
それが叶わないならば、大切な仲間を新たに作りたかった。
これは、そんな青年が徐々に仲間を増やしながら、婚約を破棄し辺境に自分わ飛ばした者達に仕返ししたり、昔の大事な仲間と再会したりする物語。
主人公の一人が長いので、序盤の会話は少ないです。
視点は通常の話が主人公で、○.5話等になっている物は主人公以外の視点です。
一部が作り上がるごとに投稿しますので、一部が終了するまでは一日一話更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる