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「そうか…
おまえもあの悪魔にひどいめにあったんだな。」
「不覚だった…
トレルの姿をしていたから、つい、気を許してしまったんだ。」
「で、トレルはどうなってるんだ?
もう完全にやられてしまったのか?」
「馬鹿な!トレルはやられてなどおらぬ!
ただ…今は完全にフォーラスに意識を封じ込められているが…
だが、必ず、私がトレルを助ける!」
「おまえ…悪魔のくせに、人間の男に惚れてるのか…?」
「…そんなこと…」
「信じられないな。
人間を本気で愛する純情な悪魔がいたなんてな。」
「…………」
「…ま、元気出せよ。
俺達も協力するからよ!
その代わり、おまえにも協力してもらうぜ!」
「私はおまえに協力などしてほしいとは思っておらぬ!」
「まぁ、そう言うなって。
俺に、ちょっと思いついたことがあるんだ。」
ランディは、ある策を話して聞かせた。
「え~~~~っっ!」
アルグの悲鳴にも似た声があがった。
次の日…
「ランディさ~ん!どこですか~?ランディさ~ん!!」
アルグは泣きそうな声でランディの名を呼びながら、森の中を歩いていた。
首からはアルグの身体には不釣合いな大きさの皮袋がぶら下げている。
今日は、朝からもう何時間もこうして森の中を歩き回り、アルグは心身ともに疲れ果てていた。
「ランディさ~ん!!」
「リュタンよ、どうした?
迷子にでもなったのか…?」
「ト、トレルさん!!
いや、悪魔だな!
この『海に眠る雫』を奪い取ろうったって無駄だぞ!
これは絶対に渡さないからな!」
アルグはトレルをにらみつけながら、両手で皮袋を抱き締めた。
「ほぅ…『海に眠る雫』はおまえさんが持っていたのかい…
なら、おとなしくそれを渡せ。
素直に渡せば、命だけは助けてやろう…」
トレルが、背をかがめアルグに手を差し伸べた時、後ろからランディが飛びかかりトレルの首をきつく締め上げた。
「うっ!だ、誰だ!」
「トレル、ごめん!」
そこへさらにエルスールがトレルの腹を蹴り上げた。
「ウッ!!」
「ランディ、もっと締め上げるんだ!」
エルスールの声を合図に、ランディの両手に力がこもる。
「う…うぅ…」
意識を失いかけたトレルのこめかみを両手で挟み込み、エルスールはトレルに顔を寄せ、何事かを口の中で呟いている。
やがて、トレルの身体は力を失い、がっくりとくずおれた。
おまえもあの悪魔にひどいめにあったんだな。」
「不覚だった…
トレルの姿をしていたから、つい、気を許してしまったんだ。」
「で、トレルはどうなってるんだ?
もう完全にやられてしまったのか?」
「馬鹿な!トレルはやられてなどおらぬ!
ただ…今は完全にフォーラスに意識を封じ込められているが…
だが、必ず、私がトレルを助ける!」
「おまえ…悪魔のくせに、人間の男に惚れてるのか…?」
「…そんなこと…」
「信じられないな。
人間を本気で愛する純情な悪魔がいたなんてな。」
「…………」
「…ま、元気出せよ。
俺達も協力するからよ!
その代わり、おまえにも協力してもらうぜ!」
「私はおまえに協力などしてほしいとは思っておらぬ!」
「まぁ、そう言うなって。
俺に、ちょっと思いついたことがあるんだ。」
ランディは、ある策を話して聞かせた。
「え~~~~っっ!」
アルグの悲鳴にも似た声があがった。
次の日…
「ランディさ~ん!どこですか~?ランディさ~ん!!」
アルグは泣きそうな声でランディの名を呼びながら、森の中を歩いていた。
首からはアルグの身体には不釣合いな大きさの皮袋がぶら下げている。
今日は、朝からもう何時間もこうして森の中を歩き回り、アルグは心身ともに疲れ果てていた。
「ランディさ~ん!!」
「リュタンよ、どうした?
迷子にでもなったのか…?」
「ト、トレルさん!!
いや、悪魔だな!
この『海に眠る雫』を奪い取ろうったって無駄だぞ!
これは絶対に渡さないからな!」
アルグはトレルをにらみつけながら、両手で皮袋を抱き締めた。
「ほぅ…『海に眠る雫』はおまえさんが持っていたのかい…
なら、おとなしくそれを渡せ。
素直に渡せば、命だけは助けてやろう…」
トレルが、背をかがめアルグに手を差し伸べた時、後ろからランディが飛びかかりトレルの首をきつく締め上げた。
「うっ!だ、誰だ!」
「トレル、ごめん!」
そこへさらにエルスールがトレルの腹を蹴り上げた。
「ウッ!!」
「ランディ、もっと締め上げるんだ!」
エルスールの声を合図に、ランディの両手に力がこもる。
「う…うぅ…」
意識を失いかけたトレルのこめかみを両手で挟み込み、エルスールはトレルに顔を寄せ、何事かを口の中で呟いている。
やがて、トレルの身体は力を失い、がっくりとくずおれた。
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