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「た、すけ…てく、れ」
エルスールはそれを取ったが、剣を鞘に収めなかった。
「まだだ。お前はまだ、何かいいものを隠し持っているだろう」
エルスールは瞳を細めると、真紅の唇をチロリと舐める仕草をした。
「駄目だ…これだけは、これだけはいくら上級悪魔であろうが渡せない」
「ならば、その命…もらい受けよう」
白銀の剣を躊躇いもなく頭上に振り上げた時、
「ま、待て!!ワシが死んだら、たくさんの人間どもも死ぬ事になるぞ!!」
フォーラスが思わぬ事を叫んだ。
エルスールは動きを止める。
「貴様…何を言っている?」
「ワシはこの先にある村人を、異空間に閉じ込めているんだ。ワシが死んだら、そいつらもそこから出られず死ぬぞ」
「そんな事は私の知る所ではない」
言い放つと、エルスールは再び剣を握り直した。
「散れ…」
「トレルの旦那が知ったらどう思うかな」
「!!」
エルスールの心が揺らいだのを見て、フォーラスは駆け引きが成功した事を確信した。
「あんたが欲しがっているモノを諦めてくれれば、ワシは村人を解放しようじゃないか」
「……………」
なぜ見知らぬ人間を助けなければならないのかと思ったが、フォーラスの持っているものにも実はさほど興味はなかったので、エルスールは要求を呑む事にした。
「いいだろう…だが、もし口からの出任せであれば、どうなるか分かっているだろうな」
「もちろんだ」
フォーラスは何度も頷きながらエルスールの気が変わらない内にと、先に立って森の中を歩き出した。
エルスールはそれを取ったが、剣を鞘に収めなかった。
「まだだ。お前はまだ、何かいいものを隠し持っているだろう」
エルスールは瞳を細めると、真紅の唇をチロリと舐める仕草をした。
「駄目だ…これだけは、これだけはいくら上級悪魔であろうが渡せない」
「ならば、その命…もらい受けよう」
白銀の剣を躊躇いもなく頭上に振り上げた時、
「ま、待て!!ワシが死んだら、たくさんの人間どもも死ぬ事になるぞ!!」
フォーラスが思わぬ事を叫んだ。
エルスールは動きを止める。
「貴様…何を言っている?」
「ワシはこの先にある村人を、異空間に閉じ込めているんだ。ワシが死んだら、そいつらもそこから出られず死ぬぞ」
「そんな事は私の知る所ではない」
言い放つと、エルスールは再び剣を握り直した。
「散れ…」
「トレルの旦那が知ったらどう思うかな」
「!!」
エルスールの心が揺らいだのを見て、フォーラスは駆け引きが成功した事を確信した。
「あんたが欲しがっているモノを諦めてくれれば、ワシは村人を解放しようじゃないか」
「……………」
なぜ見知らぬ人間を助けなければならないのかと思ったが、フォーラスの持っているものにも実はさほど興味はなかったので、エルスールは要求を呑む事にした。
「いいだろう…だが、もし口からの出任せであれば、どうなるか分かっているだろうな」
「もちろんだ」
フォーラスは何度も頷きながらエルスールの気が変わらない内にと、先に立って森の中を歩き出した。
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