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scene 4

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何かがこちらへ向かってくる…。

サクサク、サク。

黒い影が徐々に輪郭を見せるその姿に、オルジェはゴクリと喉を鳴らして唾を飲んだ。


(何だ、コイツは…)


生まれて初めて目にするものに、彼は恐怖を覚える。

月明かりに浮かび上がったのは、長い髭を蓄えた白髪の老人…ただし耳は尖り、ギョロリとした大きな目が異様な光を放っていた。

ブツブツと口の中で呟きながら当たりを見回す様は、何かにとりつかれている風に見える。


「…にね……ずく」


微かに言葉が聞こえてくるが、はっきりと聞き取れない。


「たしか…のあたり……にお……たはず」


オルジェは手の平に乗せたリンクを見た。

だが、リュタンは黙って小さく首を横に振るだけだ。

老人はひとしきりオルジェたちの周囲を捜しまわったが、ついに見つける事ができず諦めて去っていった。



「ぷはーっ!!」

オルジェは思いっきり口を開くと、大きく息を吸い込んで数回深呼吸を繰り返す。

「息止めてる時間が長すぎて、死ぬかと思った…」

「よく頑張ったな。いつお前が我慢できずに息を吸うか、気が気じゃなかったぞ」

言ってニヤリと笑うと、右手を差し出す。

「なかなかやるじゃないか。少し見直したよ」

「少しじゃなく、大いに見直したの間違いじゃないのか?」

オルジェもニヤリと笑い返して、二人は固い握手を交わした。 
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