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scene 3
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*
「イアン牧師!!」
ケイトは嬉しそうに瞳を輝かせると、イアンに駆け寄った。
「ずいぶん捜したんですよ」
「ケイト、なぜお前さんがここに…」
さすがの老人も、驚いた様子で目の前に突如現れた少女を見る。
「それはこっちのセリフですよ。牧師もトレルもオルジェも、みんな教会をほったらかしていなくなるんですから!酷いです」
「いや、これには少々訳があってな…」
「言い訳なんて聞きたくないです!」
ケイトはイアンの両腕を掴むと、老人である事も忘れてガクガクと体を揺さぶった。
「これ、ケイト…落ち着きなさい」
「無理です。落ち着いてなんていられませんっ!牧師、オルジェはどこに行ってしまったんですか!?トレルは大丈夫なんですか」
「…………」
イアンはもの凄い勢いで責め立てる少女の気迫に押され、たじろぐ。
(レクターだな、事情をケイトに話したのは)
固く口止めをしていたはずなのだが、この気迫に押されたのだろう事は容易に推測できた。
現にイアン本人も、彼女には太刀打ちできないのだから。
(どう説明するか)
その時、返す言葉を探しているイアンの困った様子を見かねたティンガが、横から口を挟んだ。
「あのお嬢さん。トレルさんなら向こうの茂みで休まれてますよ」
「!」
声の主に視線をやったケイトは、ハッと我に返る。
「そ、そうだわ。どうして牧師は小人たちと一緒にいるんですか」
そう尋ねてからフルフルと頭(かぶり)を振ると、
「違う…あたしが聞きたい事はそうじゃなくて、この小人は一体…何でこんな所に…トレルは…オルジェは…んもぉ、訳が分かんない。こうなったら、全部まとめて説明してもらいますからねっ!!」
パニックになったケイトは、ティンガの首根っこを掴んでイアンの顔の前にぶら下げると、そう叫んだのだった…。
「イアン牧師!!」
ケイトは嬉しそうに瞳を輝かせると、イアンに駆け寄った。
「ずいぶん捜したんですよ」
「ケイト、なぜお前さんがここに…」
さすがの老人も、驚いた様子で目の前に突如現れた少女を見る。
「それはこっちのセリフですよ。牧師もトレルもオルジェも、みんな教会をほったらかしていなくなるんですから!酷いです」
「いや、これには少々訳があってな…」
「言い訳なんて聞きたくないです!」
ケイトはイアンの両腕を掴むと、老人である事も忘れてガクガクと体を揺さぶった。
「これ、ケイト…落ち着きなさい」
「無理です。落ち着いてなんていられませんっ!牧師、オルジェはどこに行ってしまったんですか!?トレルは大丈夫なんですか」
「…………」
イアンはもの凄い勢いで責め立てる少女の気迫に押され、たじろぐ。
(レクターだな、事情をケイトに話したのは)
固く口止めをしていたはずなのだが、この気迫に押されたのだろう事は容易に推測できた。
現にイアン本人も、彼女には太刀打ちできないのだから。
(どう説明するか)
その時、返す言葉を探しているイアンの困った様子を見かねたティンガが、横から口を挟んだ。
「あのお嬢さん。トレルさんなら向こうの茂みで休まれてますよ」
「!」
声の主に視線をやったケイトは、ハッと我に返る。
「そ、そうだわ。どうして牧師は小人たちと一緒にいるんですか」
そう尋ねてからフルフルと頭(かぶり)を振ると、
「違う…あたしが聞きたい事はそうじゃなくて、この小人は一体…何でこんな所に…トレルは…オルジェは…んもぉ、訳が分かんない。こうなったら、全部まとめて説明してもらいますからねっ!!」
パニックになったケイトは、ティンガの首根っこを掴んでイアンの顔の前にぶら下げると、そう叫んだのだった…。
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