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「レクターさん、イアン牧師を知らない?」
「イアン牧師がどうかしたかい?」
「どこにもいらっしゃらないのよ。
こんなこと初めてだから、心配になって…
そうでなくても、オルジェがいなくなったと思ったら、今度はトレルがいなくなって、しかも、イアン牧師までもがよ!
一体、どうなってるのかしら…」
「じゃ、もしかしたらトレルの身に…」
「トレルの身に…って、レクターさん!一体どういうこと?!」
「…いや…実はな…」
レクターは、トレルがオルジェを探している事、そして、ゴードの町でトレルが悪魔と思しきあやしげな老人となにかを話しこんでいたこと、そして、その話をイアン牧師に話したことをケイトに話した。
「そんなことが!!
私、何も知らなかった!
ひどいわ、オルジェを探しに行くなら私も連れていってくれたら良かったのに…
それにしても、トレルは大丈夫なのかしら?
本当に悪魔と契約を結ぶなんてことをしていたら、今頃トレルは…」
「そこはイアン牧師がなんとかしてくれるとは思うが…」
「レクターさん…私、ゴードの町に行くわ!
そして、トレルの代わりにオルジェを探しに行く!」
「おいおい、ケイト、良いのか?そんな勝手なことして…」
「勝手なことをしてるのは皆の方よ!
私だってもう子どもじゃないんだし…
うん!決めた!
私、オルジェを探しに行く!!」
ケイトは家に戻るとテキパキと荷物をまとめ、早々に町を出た。
町を出るのは二度目のこと。
この町を最初に出たのは両親と共に出かけたゴードの町だった。
まだケイトが幼かった頃の話だ。
そのあとすぐに両親が亡くなり、それ以来、ケイトはユフィルの町を出たことはなかった。
出たいと思ったこともなかった。
ゴードの町まではほぼ一本道。
記憶がなくても迷う事はない。
夕方になる前に、ケイトはゴードの町に辿り着いた。
(ゴードの町ってこんな所だったんだ…
もっと賑やかで都会だと思ってた。)
幼い頃のおぼろげな記憶がふっとケイトの頭をかすめる。
ケイトは町に着くなり、早速、人々にイアン牧師のことを聞いてまわった。
すると、ある一人の男からそれらしき牧師がラグラの森の方に行くのを見たという話を耳にした。
「レクターさん、イアン牧師を知らない?」
「イアン牧師がどうかしたかい?」
「どこにもいらっしゃらないのよ。
こんなこと初めてだから、心配になって…
そうでなくても、オルジェがいなくなったと思ったら、今度はトレルがいなくなって、しかも、イアン牧師までもがよ!
一体、どうなってるのかしら…」
「じゃ、もしかしたらトレルの身に…」
「トレルの身に…って、レクターさん!一体どういうこと?!」
「…いや…実はな…」
レクターは、トレルがオルジェを探している事、そして、ゴードの町でトレルが悪魔と思しきあやしげな老人となにかを話しこんでいたこと、そして、その話をイアン牧師に話したことをケイトに話した。
「そんなことが!!
私、何も知らなかった!
ひどいわ、オルジェを探しに行くなら私も連れていってくれたら良かったのに…
それにしても、トレルは大丈夫なのかしら?
本当に悪魔と契約を結ぶなんてことをしていたら、今頃トレルは…」
「そこはイアン牧師がなんとかしてくれるとは思うが…」
「レクターさん…私、ゴードの町に行くわ!
そして、トレルの代わりにオルジェを探しに行く!」
「おいおい、ケイト、良いのか?そんな勝手なことして…」
「勝手なことをしてるのは皆の方よ!
私だってもう子どもじゃないんだし…
うん!決めた!
私、オルジェを探しに行く!!」
ケイトは家に戻るとテキパキと荷物をまとめ、早々に町を出た。
町を出るのは二度目のこと。
この町を最初に出たのは両親と共に出かけたゴードの町だった。
まだケイトが幼かった頃の話だ。
そのあとすぐに両親が亡くなり、それ以来、ケイトはユフィルの町を出たことはなかった。
出たいと思ったこともなかった。
ゴードの町まではほぼ一本道。
記憶がなくても迷う事はない。
夕方になる前に、ケイトはゴードの町に辿り着いた。
(ゴードの町ってこんな所だったんだ…
もっと賑やかで都会だと思ってた。)
幼い頃のおぼろげな記憶がふっとケイトの頭をかすめる。
ケイトは町に着くなり、早速、人々にイアン牧師のことを聞いてまわった。
すると、ある一人の男からそれらしき牧師がラグラの森の方に行くのを見たという話を耳にした。
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