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scene 3

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疑念を抱きながらも、トレルは悪魔の言う通りに、湖の上に足を踏み出した。



(本当だ……!沈まない!
どうなってるんだ?!)

湖の上の見えない道をトレルはゆっくりと歩いて行く。
ちょうど、湖の真ん中あたりに差し掛かった時だった。



『ちょっと待ってくれ』

「なんだ?」

『俺の袋の中に小さな皮袋があるだろう?』

「これか?」

トレルは悪魔の袋の中から小さな茶色い皮袋を取り出した。



『そう、それだ。
その中の薬を飲め。』

「何の薬だ?
俺を殺す気なのか?」

『馬鹿なことを言わないでくれ。
リュタンの村には悪魔は入れない。
だからこそ、おまえさんに憑いてきたんじゃないか。
おまえさんが死ねば、ワシはリュタンの村には入れんのだぞ。
それは、おまえさんの身体を守るものだ。
リュタンの村にはな、人間に有害なガスを出す植物がたくさんあってな。
それは、そのガスを中和する薬だ。
おまえさんが死んでしまっては困るから、わざわざ持って来てやったんだ。』

「人間に有害なガスを出す植物?
そんなもの、聞いたことがないぞ。」

「当たり前だ。
人間の世界にはないのだからな。」

「まさか、おまえ、なにか企んでるんじゃ…」

『なら、信じるな。
おまえさんは、リュタンの村で死ぬだけだ。』

「……くっ」



(こいつの言うことを信じて良いんだろうか?
なにかおかしい気がする。
でも、もしもこいつの言ってることが本当だったら…
……確かに、ここで俺を殺しても、こいつにとって得なことはない…
それに、今まではなにもおかしな真似はしなかった…)



「……わかった…飲むよ。
飲めば良いんだろ!!」

トレルは皮袋に入っていた黒い丸薬を口に入れた。



「うっ……」

飲んですぐにトレルは悪魔に騙されたことを知った。
しかし、もう遅い。



「さて、行くとするか…」 
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