深淵に眠る十字架

scene 2

９

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リンクは地面に円を描くと、何やらセッセとその中に文字を刻んでいく。

見た事もない文字だった。

それから、円の中心に立つと、


「隠されたリュタンへ続く道の鍵、確かにここに書き記す。扉を開き、ボクらを迎え入れろ！」


湖に向かって叫んだ。

すると、風がすうっと湖面を撫でるように走った。

だが、起こったのはそれだけだった。

オルジェの目には、何ら変わらない風景だったが、

「さ、行くぞ」

リンクはウキウキした表情で振り返り、促す。

「行くって、どこに？」

「この湖の向こうだよ。あぁ、早くしないと道が消えてしまう」

リンクが指差したのは、やっぱり湖だった。

「道なんてどこにあるんだよ」

「いいから、ボクについてこい」

ぴょんと湖に向かってジャンプする。

「あ、おい!!」

オルジェはリンクの行動に驚いて、思わず声を上げた。

だが、水に沈むことなくリンクは水面に立っている。

「見えないだけだ。さぁ、行くぞ！」