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それからさらに一週間が過ぎたある日のこと…

トレルはまたオルジェの様子を見にラスティア山を訪れた。
しかし、おかしなことにオルジェの姿がどこにも見えないのだ。



(行き違いになったのだろうか?)

トレルは鉱夫達の簡易宿舎に行き、オルジェのことを訊ねた。



「あぁ、オルジェなら昨日山を降りたぜ。」

「そうか…ありがとう。」

やはり行き違いになってしまったのだ。
奴は今ごろ、水晶を持って教会に行っているのかもしれないな…
トレルがそう考えた時、一人の男がトレルに声をかけてきた。



「よぅ、あんた、もしかしてトレルかい?」

「あぁ、そうだが。」

「オルジェから手紙を預かってるぜ!」

「手紙を…?」

トレルは急に胸騒ぎを感じた。
無造作に封を開けると、そこには見慣れた字でこう書いてあった。



「どうやら『暗闇に眠る小さな星』はこの町にはないようだから、他の町を探してみることにする。
イアン牧師が探すのに期限はないと言ったから、いつ帰るかはわからない。」

「くそっ!やられた!!」

トレルは手紙を握り締め、教会へ走った。







(今頃、あの二人、驚いてるだろうなぁ…)



そんなことを考えて、オルジェはこみあげる笑いをおさえきれずに肩を震わせた。

この数週間、真面目に作業を続けたおかげでそれなりの金がもらえた。
今までは何をするにもイアン牧師かトレルの許可が必要で、自由になる金等持たせてもらえた試しはなかった。
だから、町を出ることもとても無理だと思っていたのだが、思わぬことで仕事をする機会を得ることが出来、そして、「暗闇に眠る小さな星を探す」という大義名分を掲げてオルジェは町を出ることまでが出来たのだ。



(イアン牧師は、「この町の中でみつけること」とは言わなかったもんなぁ…)



オルジェは下を向いて笑いを噛み殺し、やがて大きな声で笑った。
それは煩わしいものから解き放たれた勝者の笑いだ。



(さて、どっちへ行こうか…
とにかく少しでもあの町から遠くへ…! )

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