10 / 291
scene 1
10
しおりを挟む
(…なるほど…
で、オレがとびっきりキラキラした大きな水晶を持っていったとしても、「残念ながら、これは私の言った『暗闇に眠る小さな星』ではありませんね…」なんてことをしたり顔で言うつもりだな!
もしかしたら、最初からそんなものはなくて、何を持っていっても同じことを言うつもりなんじゃあ…
…畜生!!
オレはまんまとハメられたってことなのか?!)
オルジェは考えた。
なんとか、イアン牧師の鼻を明かしてやる良い案はないものか?!と…
そして、夜が白々と明ける頃、オルジェは、不意に最高のアイディアを思い付いた。
「よしっ!決まった!!」
オルジェは眠るのも忘れ、簡単な身支度を済ませるとすぐに家を出た。
机の上には「しばらくラスティア山に行ってくる」と短い書き置きを残して…
*
「イアン牧師、あいつ、真面目に頑張ってたよ。」
「そうですか。それは良かった。
もうしばらくしたら、とびきり綺麗な水晶を持ってここへ来ることでしょう。」
イアン牧師とトレルは顔を見合わせて微笑んだ。
トレルがオルジェの書き置きを読んでラスティア山に行ってみると、鉱夫達に交じって土を掘るオルジェの姿をみつけた。
二日程、トレルは隠れて様子を見ていたが、オルジェは朝から夕方近くまでとても真面目に作業を続けていた。
オルジェは、イアン牧師の言った「暗闇に眠る小さな星」を宝石のことだと信じ、それを探している。
しかし、ここにはそんなたいした宝石などはない。
いや、たいしたものであるかどうかが、そもそも重要なことではないのだ。
(…ま、せいぜい頑張ることだな!)
トレルはそのまま山を降り、教会に戻った。
*
それから、一週間の時が過ぎた。
「オルジェはまだ来ませんが、今でも鉱山にいるのですか?」
「あぁ、俺も少し心配になって昨日見に行ったんだが、あいつ、まだ堀り続けていやがった。」
「そうですか…
なんとしても失敗したくないと思って、一生懸命なのかもしれませんね…」
オルジェがこれほど根気強かったことに、トレルはいささか驚いていた。
(…オルジェ…お前、そんなにコンジュラシオンになるのがいやなのか…?)
で、オレがとびっきりキラキラした大きな水晶を持っていったとしても、「残念ながら、これは私の言った『暗闇に眠る小さな星』ではありませんね…」なんてことをしたり顔で言うつもりだな!
もしかしたら、最初からそんなものはなくて、何を持っていっても同じことを言うつもりなんじゃあ…
…畜生!!
オレはまんまとハメられたってことなのか?!)
オルジェは考えた。
なんとか、イアン牧師の鼻を明かしてやる良い案はないものか?!と…
そして、夜が白々と明ける頃、オルジェは、不意に最高のアイディアを思い付いた。
「よしっ!決まった!!」
オルジェは眠るのも忘れ、簡単な身支度を済ませるとすぐに家を出た。
机の上には「しばらくラスティア山に行ってくる」と短い書き置きを残して…
*
「イアン牧師、あいつ、真面目に頑張ってたよ。」
「そうですか。それは良かった。
もうしばらくしたら、とびきり綺麗な水晶を持ってここへ来ることでしょう。」
イアン牧師とトレルは顔を見合わせて微笑んだ。
トレルがオルジェの書き置きを読んでラスティア山に行ってみると、鉱夫達に交じって土を掘るオルジェの姿をみつけた。
二日程、トレルは隠れて様子を見ていたが、オルジェは朝から夕方近くまでとても真面目に作業を続けていた。
オルジェは、イアン牧師の言った「暗闇に眠る小さな星」を宝石のことだと信じ、それを探している。
しかし、ここにはそんなたいした宝石などはない。
いや、たいしたものであるかどうかが、そもそも重要なことではないのだ。
(…ま、せいぜい頑張ることだな!)
トレルはそのまま山を降り、教会に戻った。
*
それから、一週間の時が過ぎた。
「オルジェはまだ来ませんが、今でも鉱山にいるのですか?」
「あぁ、俺も少し心配になって昨日見に行ったんだが、あいつ、まだ堀り続けていやがった。」
「そうですか…
なんとしても失敗したくないと思って、一生懸命なのかもしれませんね…」
オルジェがこれほど根気強かったことに、トレルはいささか驚いていた。
(…オルジェ…お前、そんなにコンジュラシオンになるのがいやなのか…?)
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
物理少年は争いを好まない
東雲まくら
ファンタジー
性格拗らせてる系の主人公、加賀宮 健吾は、悪魔と契約し、この世成らざる者達との争いに巻き込まれていくのだが・・・といったメインストーリー。
魔法少女、エクソシスト、陰陽師・・・etc、といった、立場、呼び方に違いはあれど、各々がこの世の成らざる存在と対峙しており、彼らと真理学研究部を通して協力することにッ!?
普通ではない部活と仲間と共に、普通ではない生活を送る事になった主人公が、争いを好まない為に、周囲を振り回しながらも、己にかせられた運命なんかに立ち向かっていく・・・みたいな、話になる予定です。
また、高校生活での何気ない日常&甘酸っぱい青春を描いていく予定です。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた
黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」
幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
最難関ダンジョンで裏切られ切り捨てられたが、スキル【神眼】によってすべてを視ることが出来るようになった冒険者はざまぁする
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【第15回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作】
僕のスキル【神眼】は隠しアイテムや隠し通路、隠しトラップを見破る力がある。
そんな元奴隷の僕をレオナルドたちは冒険者仲間に迎え入れてくれた。
でもダンジョン内でピンチになった時、彼らは僕を追放した。
死に追いやられた僕は世界樹の精に出会い、【神眼】のスキルを極限まで高めてもらう。
そして三年の修行を経て、僕は世界最強へと至るのだった。
魔王殿
神泉灯
ファンタジー
さらわれた王女の奪還に三人の勇者が魔王殿に到着した。
同時刻、王女は魔王を階段から突き落とした。
目を覚ました魔王は言った。
「ここはどこ? 君は誰? 僕は……誰?」
息をのむ王女だが、千載一遇の脱出の好機と、一世一代の嘘をつく。
「私たちは一緒に魔王殿を脱出するのです」
記憶をなくした魔王。
救出が来ていることを知らない王女。
事態を知るよしもない勇者たち。
混乱する魔物たち。
なに一つ かみ合わない 運命の歯車の 行き着く先は?
注・難解な物語です。
もう一つ 注・これは 出版が決まったものの、なぜか警察から圧力がかかり、出版 差し止めとなった、いわくつきの小説です。
突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます
ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。
何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。
何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。
それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。
そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。
見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。
「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」
にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。
「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。
「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる