27 / 32
神社のお守り(いて座)
4
しおりを挟む
「あ…そんなに怖がる必要はないのよ。
これは溜まりこんだ厄災が溢れてるだけだから。
これ自体が、悪い物だってわけじゃないわ。
使い方を間違えたのが悪いのよ。」
「そ…それじゃあ、どうすれば良いの?
私、二週間近くつけてたけど大丈夫なの?」
「じゃあ…行きましょうか。」
「行くってどこへ……」
私はわけもわからないまま、野口さんに着いて行った。
野口さんが向かったのは近所の神社。
途中のコンビニで買った半紙にお守りを包み、そこに野口さんが持ってた塩も一緒に入れて、野口さんはお守りを神社に納めた。
もっとなにか大袈裟なことをイメージしていた私には気抜けするように簡単なことだった。
それから、私達は、二人でお参りをすませた。
野口さんは、お参りの仕方も教えてくれて、こういうことにも作法があることを私は初めて知った。
「はい、これ。」
帰り際に、野口さんが私の前に小さな袋を差し出した。
それはその神社のお守りだった。
「え…?」
さっきの話を聞いてお守りがなんとなく怖いと感じていただけに、私の気持ちは複雑だった。
それに、どうしてこんなものを…
やっぱりさっきのお守りの呪いが私にまだ残ってる…?
「野口さん、どうしてこんなものを私に…?」
私は胸にひっかかるその質問をぶつけた。
「……小野寺さんは私のことを信じてくれたから…」
「えっ?」
「……私、別に怖がらせようとか思って言うんじゃないのよ。
でも、皆、私が何か言うと怒ったりして…ろくに話も聞いてくれない。」
そう言った野口さんの顔はとても寂しそうなものだった。
「……皆、きっと怖いんだと思うよ。
私も怖かったもの。
でも、自分じゃどうして良いかわからないから、野口さんに任せたの。」
「……そう……ありがとう。」
「やだなぁ、お礼を言うのは私の方よ。
ありがとう。
あ、そういえば、野口さんはもう受験は終わったの?」
首を振る野口さんを見て、私は同じお守りを買いに走った。
差し出したお守りを見て、野口さんはとても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
「受験、頑張ろうね!」
家に戻った頃には嘘のように熱が下がり、体調はすっきりとしたものになっていた。
そういえば、神社に行く時点ですでにだるかったのがマシになっていたことを私は思い出した。
野口さんの言うことが本当なのかどうかはまだ半信半疑だけど、本当だとしか思えないようなタイミングで体調は回復して、私は無事に受験に臨むことが出来た。
これは溜まりこんだ厄災が溢れてるだけだから。
これ自体が、悪い物だってわけじゃないわ。
使い方を間違えたのが悪いのよ。」
「そ…それじゃあ、どうすれば良いの?
私、二週間近くつけてたけど大丈夫なの?」
「じゃあ…行きましょうか。」
「行くってどこへ……」
私はわけもわからないまま、野口さんに着いて行った。
野口さんが向かったのは近所の神社。
途中のコンビニで買った半紙にお守りを包み、そこに野口さんが持ってた塩も一緒に入れて、野口さんはお守りを神社に納めた。
もっとなにか大袈裟なことをイメージしていた私には気抜けするように簡単なことだった。
それから、私達は、二人でお参りをすませた。
野口さんは、お参りの仕方も教えてくれて、こういうことにも作法があることを私は初めて知った。
「はい、これ。」
帰り際に、野口さんが私の前に小さな袋を差し出した。
それはその神社のお守りだった。
「え…?」
さっきの話を聞いてお守りがなんとなく怖いと感じていただけに、私の気持ちは複雑だった。
それに、どうしてこんなものを…
やっぱりさっきのお守りの呪いが私にまだ残ってる…?
「野口さん、どうしてこんなものを私に…?」
私は胸にひっかかるその質問をぶつけた。
「……小野寺さんは私のことを信じてくれたから…」
「えっ?」
「……私、別に怖がらせようとか思って言うんじゃないのよ。
でも、皆、私が何か言うと怒ったりして…ろくに話も聞いてくれない。」
そう言った野口さんの顔はとても寂しそうなものだった。
「……皆、きっと怖いんだと思うよ。
私も怖かったもの。
でも、自分じゃどうして良いかわからないから、野口さんに任せたの。」
「……そう……ありがとう。」
「やだなぁ、お礼を言うのは私の方よ。
ありがとう。
あ、そういえば、野口さんはもう受験は終わったの?」
首を振る野口さんを見て、私は同じお守りを買いに走った。
差し出したお守りを見て、野口さんはとても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
「受験、頑張ろうね!」
家に戻った頃には嘘のように熱が下がり、体調はすっきりとしたものになっていた。
そういえば、神社に行く時点ですでにだるかったのがマシになっていたことを私は思い出した。
野口さんの言うことが本当なのかどうかはまだ半信半疑だけど、本当だとしか思えないようなタイミングで体調は回復して、私は無事に受験に臨むことが出来た。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
痴漢列車に挑む痴漢Gメン女子高生レイコ
ムーワ
大衆娯楽
朝の通勤電車はラッシュ時はギュウギュウ詰めの混雑状態!
その混雑を利用して女子高生を中心に若い女の子をターゲットに頻繁に痴漢を繰り返す謎の男。
実際に痴漢にあっても怖くて何もいえず、泣きながら鉄道警察隊に相談する女子高生もいて、何度か男性の鉄道警察隊員が変装をして捕まえようとするが捕まえることができず、痴漢被害は増加する一方。
そこで鉄道警察隊はエリート大卒新人のレイコ氏に相談すると、レイコはとんでもない秘策を思いついた。
連続寸止めで、イキたくて泣かされちゃう女の子のお話
まゆら
恋愛
投稿を閲覧いただき、ありがとうございます(*ˊᵕˋ*)
「一日中、イかされちゃうのと、イケないままと、どっちが良い?」
久しぶりの恋人とのお休みに、食事中も映画を見ている時も、ずっと気持ち良くされちゃう女の子のお話です。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる