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神社のお守り(いて座)

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「あ…そんなに怖がる必要はないのよ。
これは溜まりこんだ厄災が溢れてるだけだから。
これ自体が、悪い物だってわけじゃないわ。
使い方を間違えたのが悪いのよ。」

「そ…それじゃあ、どうすれば良いの?
私、二週間近くつけてたけど大丈夫なの?」

「じゃあ…行きましょうか。」

「行くってどこへ……」

私はわけもわからないまま、野口さんに着いて行った。
野口さんが向かったのは近所の神社。
途中のコンビニで買った半紙にお守りを包み、そこに野口さんが持ってた塩も一緒に入れて、野口さんはお守りを神社に納めた。
もっとなにか大袈裟なことをイメージしていた私には気抜けするように簡単なことだった。
それから、私達は、二人でお参りをすませた。
野口さんは、お参りの仕方も教えてくれて、こういうことにも作法があることを私は初めて知った。



「はい、これ。」

帰り際に、野口さんが私の前に小さな袋を差し出した。
それはその神社のお守りだった。



「え…?」

さっきの話を聞いてお守りがなんとなく怖いと感じていただけに、私の気持ちは複雑だった。
それに、どうしてこんなものを…
やっぱりさっきのお守りの呪いが私にまだ残ってる…?



「野口さん、どうしてこんなものを私に…?」

私は胸にひっかかるその質問をぶつけた。



「……小野寺さんは私のことを信じてくれたから…」

「えっ?」

「……私、別に怖がらせようとか思って言うんじゃないのよ。
でも、皆、私が何か言うと怒ったりして…ろくに話も聞いてくれない。」

そう言った野口さんの顔はとても寂しそうなものだった。



「……皆、きっと怖いんだと思うよ。
私も怖かったもの。
でも、自分じゃどうして良いかわからないから、野口さんに任せたの。」

「……そう……ありがとう。」

「やだなぁ、お礼を言うのは私の方よ。
ありがとう。
あ、そういえば、野口さんはもう受験は終わったの?」

首を振る野口さんを見て、私は同じお守りを買いに走った。

差し出したお守りを見て、野口さんはとても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。




「受験、頑張ろうね!」



家に戻った頃には嘘のように熱が下がり、体調はすっきりとしたものになっていた。
そういえば、神社に行く時点ですでにだるかったのがマシになっていたことを私は思い出した。
野口さんの言うことが本当なのかどうかはまだ半信半疑だけど、本当だとしか思えないようなタイミングで体調は回復して、私は無事に受験に臨むことが出来た。 
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