上 下
25 / 32
神社のお守り(いて座)

しおりを挟む
(すごい!このお守りがあればもう絶対に大丈夫ね!)



私は早速、百子にお礼の電話をかけた。
久し振りに気持ちがすっきりと晴れ、自分でも声が弾んでいるのが分かる程だった。



お守りの信じられない程すぐに現れた。
今まではどうもいまひとつ気持ちが向かなかった勉強に集中出来るようになり、どんどん頭に入って行く。
そのことによって、勉強法が間違っているのではないかというような不安も消え去り、自信がついて安心したせいか、夜もぐっすりと眠れるようにもなった。
お守りのお陰で、すべてが良い方に動き出した気がした。



そんなある雨の日のこと…



「あぁ~~っ!」

家の近くの坂道を自転車で走っている時に転倒し、私は腕にはひびが入り、あちこちを打ち青いあざが出来た。



(あ~あ…受験まであと何日もないっていうのに…
でも、ま、ひびですんで良かった…)

出来るだけポジティヴに考えようと思っていた矢先、今度は体調の悪さを感じた。
その晩から高熱が出て、とても勉強どころではなくなった。
風邪だろうと思い、薬を飲んで寝ていたけれどいっこうに良くならず、受験の日にこんな状態では大変だから、私は仕方なく病院に行くことにした。
歩くのもふらふらとするような状態だったけど、お母さんにわざわざパートを休んでついていってもらうのは気が引けたので、なんとか一人で向かった。



(あぁ…だるい…
病院、待たされたらいやだなぁ…)



重い足をひきずりながら、私はいつもよりずっと遅い速度で歩いていた。



「小野寺さん。」

病院の近くにさしかかった時、私は不意に名前を呼ばれ、振り向くとそこには同じクラスの野口さんが立っていた。
影で皆から「幽体ちゃん」と呼ばれるちょっと変わった人物で、親しい友達もほとんどいない様子でもちろん私も彼女と話したことはほとんどなかった。
そんな彼女が私に何の用だろう?

……まさか……



「あぁ、野口さん。」

いやな予感があり、私は野口さんと話したくなくて極力素っ気無く答えた。



「……小野寺さん…あなた、おかしなものを持ってない?」

「えっ!?」

彼女がクラスで孤立する原因はこれだった。
霊能力があるとかで、突然おかしなことを言い出すのだ。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

処理中です...