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厄介者

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あの時…リュシアン様に初めてお会いした時…
私はまるで電撃にでも打たれたような強い衝撃を受けた。
 今まで私は一目惚れなんてしたことはない。
だから、よくはわからないけど…あれは、一目惚れだったんだろうか?
あれほど、心がかき乱されたことなんてなかったもの…



それから、私はアドルフ様の側室になって…
だから、アドルフ様を愛さなければならないって思った。
そう思いながらも、やはり私の心の片隅にはリュシアン様がいた。
アドルフ様と一緒にいるうちに、私はアドルフ様のことが好きになってはいたけれど…



だからといって、リュシアン様のことを忘れたわけじゃない。
リュシアン様のことはずっと忘れなきゃって思ってたし、アドルフ様の事を好きになっていくにつれて、リュシアン様のことは忘れたと思ってた…
でも、それはきっとそう思い込もうとしていただけ。



 今になったらよくわかる。
 私の心の中には、ずっとリュシアン様がいた。
 片時も忘れることはなかった。
そんな気持ちを隠してただけなんだ…



(リュシアン様……)



だけど…私の想いはもう届かない。
こんなことなら、もっと早く素直になって、リュシアン様のお妃にしてもらえば良かった。
だけど、後悔してももう遅い。
あれからもう五年近くも経ってるんだもの…きっと、リュシアン様はもうお妃様を迎えられて、お幸せになられているはず。
 第一、私がこの世界にいる限り、会えるはずはないんだから。



 諦めなきゃ…そう思うのに、なかなか私はリュシアン様への想いを断ち切ることが出来なかった。
 断ち切ろうと思えば思うほど、私は強くリュシアン様にひかれてしまう…
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