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悪夢の一夜

side アドルフ

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 「アドルフ様、おめでとうございます!」

 「ジゼル姫、お幸せに…!」



 今日はどれだけそんな言葉を聞かされ続けたことだろう。
 私とジゼルの婚礼は、国をあげての祝いとなった。
 空は青く澄み渡り…それと同じように誰の顔も晴れやかに輝いて…
私の心だけは暗く曇っていたが、そんなことを知る者は誰もいない。



 偽りの笑みを浮かべ、話したくもないのにくだらないおしゃべりを続け…
ようやく解放されたと思ったら、これから最悪の儀式が待っている。



そう…愛してもいないジゼルを抱くという呪われた儀式だ。
 私が、今、魔導の力を持っていたら、あいつをひきがえるに変えて、踏みつぶしてやるところだが、残念ながら今の私は無力な人間だ。
しかも、アリシアとめぐり会えたのだ。
 長い時を経て、ようやく……
ここで騒ぎを起こしては、何もかもがぶち壊しになる。
 我慢しなければならない…



(そう…私は耐えねばならない!
アリシアと幸せな時間を過ごすためにも、私は耐えなければならないんだ。)



 私は自分に強くそう言い聞かせ、部屋に戻った。
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