赤い流れ星

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
161 / 171
side ひかり

しおりを挟む
「ひかり……ごめんな…」



ふと会話が途切れた時、シュウがぽつりと呟いた。



「ごめんって…何が?」

「いや……こんなことになってしまったから。」

「何言ってんの?
私は、シュウと一緒にいたかったからそれでこの道を選んだだけ。
シュウが謝ることなんて、何もないよ。」

「ひかり……
後悔してない?
これから俺と二人で住むことに不安はない?」

「ないない。
私はシュウと一緒にいられれればそれで幸せなんだから。」

「ひかり……俺のこと…好き?」

その眼差しは息が詰まりそうになる程、真剣なもので……



「なによ、今更!
そんなこっぱずかしいこと聞かないで!」

私は照れ隠しにそう答え、シュウの腕を叩いた。



「ねぇ、答えてよ。
本当に俺のこと、好き?
もう一度、ひかりの口からしっかりと聞きたいんだ。」



そんなこと……



「……好きに決まってるでしょう!
だから、ここまで来たんだよ!
たとえ、父さんや母さんと別れることになっても、シュウと一緒にいたいと思ったから……
だから、ここまで来たんだよ!
シュウのことが死ぬほど大好きだから!」

押さえてた感情がついに爆発し、作り笑顔を壊した。
泣いちゃいけないと唇を噛み締めたけど、それでも、言うことを聞かない涙がぽろぽろこぼれ落ちて……



「ひかり…ありがとう!」

シュウの身体が覆い被さるようにして私はきつく抱き締められた。
シュウの温もりに触れ、私はなぜだか林道の近くで迷子になったあの日のことを思い出していた。
帰れなくなって心細くて不安がいっぱいでどうしようもなかった時に、シュウは迎えに来てくれた。
あの時、どれほど安心したことか……



「シュウ…私…シュウのことが大好き。
ずっと…ずっと、傍にいてほしい。
シュウがいてくれないと…だめなの…
そうじゃないと、私、きっとまた……」

シュウの身体が私から離れて、きらきら輝くシュウの視線が私を捕らえた。



「……いるよ。
俺はずっとひかりの傍にいる……」

「シュウ……」

再び近付いて来るシュウに、私は自然に瞳を閉じた。
抱き締められて、シュウのやわらかい唇が私の唇に重なった。
この前の触れたかどうだかわからないような軽いキスとは違い、頭の芯が痺れるような想いのこもった熱い唇……



シュウは本気で私の目の前から姿を消そうとしている。
きっと、もう二度と会わないつもりなんだ……



(これは、お別れのキス……)



私は、シュウのそんな哀しい決意を感じ胸が熱くなった。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話

赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

2穴引き裂き女子○生更生調教

監督 御満小路流々
ファンタジー
普段から、教師に対してなめた態度をとるギャル彩美を醜い中年教師の高城が調教します。 愛無し 監禁 拷問 痛い系

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

処理中です...