105 / 171
side シュウ
5
しおりを挟む
「こんな時に申し訳ないのですが……あと一つだけ聞かせて下さい。
あなたは……お兄さんのおっしゃったことを信じてらっしゃいますか?
その…亡くなったお義姉さんが生き返られたということを……」
和彦さんがそう質問すると、妹さんは何も言わずにその場から立ち上がり部屋を出た。
今の質問に気分を害したのかと思っていたら、それからすぐに戻って来て、俺達に黒い携帯の画面を開いて差し出した。
「これは、まさか……?」
そこに写っていたのは中年の男女。
女性は、顔色が悪く男性に寄りかかるようにしていた。
おそらく、男性が手を伸ばして自分で撮ったものだと思う。
ほとんど二人の胸から上からしか写っていなかったから。
二人はとても哀しげな…だけど、どこか満足したような切ない笑みをたたえていた。
「兄と……義姉さんです。」
「ま、まさか……
それは、カリスタリュギュウス流星群の…後のものですか?」
和彦さんの質問に、妹さんは小さく頷いた。
「はい。
兄達がいなくなったその日に撮られたものです…」
「そ…それでは……!」
和彦さんが携帯に手を伸ばそうとした時、妹さんは、その画像を俺達の前で突然消去した。
「な、なんてことを!
今の画像はとても重要なもの……
お義姉さんが生き返っていたという確たる証拠じゃないですか!!」
俺も、今の妹さんの行動には驚いて何も言えなかった。
どうしてそんなことをするのか、俺にはまるで理解出来なかった。
「……そんなこと、あってはいけないんです!
死んだ人が生き返っても…それは私達に不幸をもたらしただけ。
……兄さんは、義姉さんを失うことにはもう耐えられなかった……
それがどれほど辛い事かを知っているからこそ、もう二度とは体験したくなかったのでしょう……
だから、きっと二人で……
そんな悲しい奇蹟なんて……起きてほしくはなかった…!」
妹さんは、今まで押さえこんでいた感情が一度に噴き出したかのように、大きな声をあげて泣き始めた。
和彦さんは妹さんの心中を察したのか、大切な画像を消した事については何も言わずに、そんな妹さんの背中を優しくさすり続けてた。
俺は、何もすることが出来ず……
ただ、妹さんの姿になんとなく自分のことを重ねて…ぼんやりとみつめていた。
あなたは……お兄さんのおっしゃったことを信じてらっしゃいますか?
その…亡くなったお義姉さんが生き返られたということを……」
和彦さんがそう質問すると、妹さんは何も言わずにその場から立ち上がり部屋を出た。
今の質問に気分を害したのかと思っていたら、それからすぐに戻って来て、俺達に黒い携帯の画面を開いて差し出した。
「これは、まさか……?」
そこに写っていたのは中年の男女。
女性は、顔色が悪く男性に寄りかかるようにしていた。
おそらく、男性が手を伸ばして自分で撮ったものだと思う。
ほとんど二人の胸から上からしか写っていなかったから。
二人はとても哀しげな…だけど、どこか満足したような切ない笑みをたたえていた。
「兄と……義姉さんです。」
「ま、まさか……
それは、カリスタリュギュウス流星群の…後のものですか?」
和彦さんの質問に、妹さんは小さく頷いた。
「はい。
兄達がいなくなったその日に撮られたものです…」
「そ…それでは……!」
和彦さんが携帯に手を伸ばそうとした時、妹さんは、その画像を俺達の前で突然消去した。
「な、なんてことを!
今の画像はとても重要なもの……
お義姉さんが生き返っていたという確たる証拠じゃないですか!!」
俺も、今の妹さんの行動には驚いて何も言えなかった。
どうしてそんなことをするのか、俺にはまるで理解出来なかった。
「……そんなこと、あってはいけないんです!
死んだ人が生き返っても…それは私達に不幸をもたらしただけ。
……兄さんは、義姉さんを失うことにはもう耐えられなかった……
それがどれほど辛い事かを知っているからこそ、もう二度とは体験したくなかったのでしょう……
だから、きっと二人で……
そんな悲しい奇蹟なんて……起きてほしくはなかった…!」
妹さんは、今まで押さえこんでいた感情が一度に噴き出したかのように、大きな声をあげて泣き始めた。
和彦さんは妹さんの心中を察したのか、大切な画像を消した事については何も言わずに、そんな妹さんの背中を優しくさすり続けてた。
俺は、何もすることが出来ず……
ただ、妹さんの姿になんとなく自分のことを重ねて…ぼんやりとみつめていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話
赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる