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side ひかり
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「和彦さんが信じられないのも当然です。
俺だって最初は信じられなかったし、ひかりだって信じてくれなかった。」
そう言ってシュウが私の方を見たから、私は思わず頷いた。
「とにかく、話を聞かせてくれないか?」
話を急かす兄さんに、シュウはゆっくりと頷き、静かな声で話し始めた。
「和彦さん、カリスタリュギュウス流星群ってご存知ですか?」
「カリスタリュギュウス流星群?」
その名前を聞いた時に、兄さんの表情が一瞬険しいものに変わった。
「そうです。
カリスタリュギュウス流星群。
今から、三ヶ月ちょっと前に……」
「それなら知ってる。
特殊なものだからな。
イギリスからも、一部の者がわざわざ日本まで見に行ったと聞いた。
……しかし、そのカリスタリュギュウス流星群がどんな関係があると言うんだ?」
兄さんは、少し苛ついているような口調でそう尋ねた。
「実は…俺がこっちの世界に呼び出されたのは、ひかりがカリスタリュギュウス流星群にかけた願いによってだったんです。
いや、はっきりとはわかりませんが、その時の状況を考えるとそうとしか考えられない……」
「君までが自分を小説の主人公だなどと馬鹿げたことを言うのか!?
そんなこと誰が信じる?」
「……その通りです。
最初から騙そうと思うのなら、俺だってこんなことは言いません。
もっと、マシな嘘を吐きますよ。
だけど、ひかりは本当のことを伝えようとした…だから、俺もありのままをお話してるだけです。」
あぁ、いやな雰囲気だ。
二人共、冷静には話してるけど、お互いの言葉に棘がある。
こんなやりとりは聞いてるだけでも、心が痛くなるよ。
やっぱり、本当のことなんて言わずに、適当なことを言っておいた方が良かったんだろうか?
「美幸。
おまえは、カリスタリュギュウス流星群に小説のオリキャラを出してくれって頼んだのか?」
「出してくれってわけじゃないけど…
私、その時はちょっと眠ってて……」
私は当時のことを話した。
あのややこしい名前の流星群を見ようと思いつつ眠ってしまったこと。
でも、目が覚めて、その時にあせってシュウに会うなんて口走ってしまって、それから流れ星が家に向かってどんどん近付いて来て……
「美幸…ちょっと待て。
流れ星は家に向かって落ちて来たのか?」
「う…うん……
寝惚けてたのかもしれないけど、どんどん私の家に向かって近付いて来て、家の中も真っ赤になって、逃げようと思った時にはもうどうしようもなくなってて…
その後のことは覚えてないんだけど……」
兄さんは急に難しい顔をして腕を組み、そして急に立ちあがったかと思うと、何も言わずに台所を出て行った。
俺だって最初は信じられなかったし、ひかりだって信じてくれなかった。」
そう言ってシュウが私の方を見たから、私は思わず頷いた。
「とにかく、話を聞かせてくれないか?」
話を急かす兄さんに、シュウはゆっくりと頷き、静かな声で話し始めた。
「和彦さん、カリスタリュギュウス流星群ってご存知ですか?」
「カリスタリュギュウス流星群?」
その名前を聞いた時に、兄さんの表情が一瞬険しいものに変わった。
「そうです。
カリスタリュギュウス流星群。
今から、三ヶ月ちょっと前に……」
「それなら知ってる。
特殊なものだからな。
イギリスからも、一部の者がわざわざ日本まで見に行ったと聞いた。
……しかし、そのカリスタリュギュウス流星群がどんな関係があると言うんだ?」
兄さんは、少し苛ついているような口調でそう尋ねた。
「実は…俺がこっちの世界に呼び出されたのは、ひかりがカリスタリュギュウス流星群にかけた願いによってだったんです。
いや、はっきりとはわかりませんが、その時の状況を考えるとそうとしか考えられない……」
「君までが自分を小説の主人公だなどと馬鹿げたことを言うのか!?
そんなこと誰が信じる?」
「……その通りです。
最初から騙そうと思うのなら、俺だってこんなことは言いません。
もっと、マシな嘘を吐きますよ。
だけど、ひかりは本当のことを伝えようとした…だから、俺もありのままをお話してるだけです。」
あぁ、いやな雰囲気だ。
二人共、冷静には話してるけど、お互いの言葉に棘がある。
こんなやりとりは聞いてるだけでも、心が痛くなるよ。
やっぱり、本当のことなんて言わずに、適当なことを言っておいた方が良かったんだろうか?
「美幸。
おまえは、カリスタリュギュウス流星群に小説のオリキャラを出してくれって頼んだのか?」
「出してくれってわけじゃないけど…
私、その時はちょっと眠ってて……」
私は当時のことを話した。
あのややこしい名前の流星群を見ようと思いつつ眠ってしまったこと。
でも、目が覚めて、その時にあせってシュウに会うなんて口走ってしまって、それから流れ星が家に向かってどんどん近付いて来て……
「美幸…ちょっと待て。
流れ星は家に向かって落ちて来たのか?」
「う…うん……
寝惚けてたのかもしれないけど、どんどん私の家に向かって近付いて来て、家の中も真っ赤になって、逃げようと思った時にはもうどうしようもなくなってて…
その後のことは覚えてないんだけど……」
兄さんは急に難しい顔をして腕を組み、そして急に立ちあがったかと思うと、何も言わずに台所を出て行った。
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