59 / 171
side ひかり
59
しおりを挟む
そして、もう一つ、私には頭を痛めることがあった。
それは、父さん達が今度の連休に来るって言ってること。
シュウは、その間、町のカラオケかどこかで時間を潰すって言ってるけど、それも大変だし、そうかといってホテルを取ってあげるだけのお金はない。
そもそも、ホテル自体がずいぶん遠くまで行かないとないし……
それよりも何よりも、家の中の様子もまた変えないといけないのが大変だ。
綺麗にしてるのは掃除をするようになったからだと言うとしても、この家にはシュウの存在がだいぶ染みついてきてるから、それを全部隠さないといけないんだもの。
そんな悩みを抱えていることを、シュウには言い出せず、私は日夜、何か良い策はないものかと考え続けていた。
そんなある日、私の頭にようやく良いアイディアが舞い降りた!
*
「シュウ、突然なんだけど、今度の連休、実家に帰って来るね。」
「実家に?そっか…
それは良いな、ご両親も喜ばれるだろうし、ゆっくりして来いよ。」
「ううん、その日のうちに戻って来る。」
「なんでだよ?」
「だって……近所の目もあるし…私はあんまりうろうろしない方が良いんだ。」
そう言ったのは嘘ではなかったけど、本当はシュウと離れるのが寂しくて、シュウのことが心配だったから。
「そんなこと、何も気にすることないって。
地方の大学に行ってるってことになってるんだろ?
だったら、連休に戻っても何もおかしなことないじゃないか。
交通費ももったいないし、ゆっくりして来いよ。」
「だって……別に、用事もないし……」
「実家は用事があるからって行くような所じゃないだろ。
とにかく、こっちのことは心配ないから、ゆっくりして来い。」
なによ、なによ、ゆっくり、ゆっくりって!
私は、シュウのことがこんなに心配なのに、シュウは私がいなくなってもちっとも寂しくなさそうじゃない。
おかしい!
シュウは、私のことが大好きな筈なのに、なんでそんなに平気なんだろう?
私が実家に戻って、誰か他の男と…なんて、妄想はないのか…!?
まぁ、そんなことがないことは、私自身にもよくわかってるんだけど……
それにしても、あまりにも冷たいんじゃないですか!?
私は、なんとも言えない寂しい想いを感じてた。
母さんには実家に必要なものがあるから取りに帰ると言って納得させた。
それもただの口実じゃない。
でも、取りに行くのは私のものじゃなくて兄さんのもの。
兄さんはシュウと体格が似てるから、服をもらって来ようと考えたんだ。
高校を卒業してしばらくしてから家を出てるから、家にあるのは当時のものがほとんどだけど…兄さんはその頃から背は高かったから、まぁ、なんとかなると思う。
靴も合うと良いんだけどなぁ…
それは、父さん達が今度の連休に来るって言ってること。
シュウは、その間、町のカラオケかどこかで時間を潰すって言ってるけど、それも大変だし、そうかといってホテルを取ってあげるだけのお金はない。
そもそも、ホテル自体がずいぶん遠くまで行かないとないし……
それよりも何よりも、家の中の様子もまた変えないといけないのが大変だ。
綺麗にしてるのは掃除をするようになったからだと言うとしても、この家にはシュウの存在がだいぶ染みついてきてるから、それを全部隠さないといけないんだもの。
そんな悩みを抱えていることを、シュウには言い出せず、私は日夜、何か良い策はないものかと考え続けていた。
そんなある日、私の頭にようやく良いアイディアが舞い降りた!
*
「シュウ、突然なんだけど、今度の連休、実家に帰って来るね。」
「実家に?そっか…
それは良いな、ご両親も喜ばれるだろうし、ゆっくりして来いよ。」
「ううん、その日のうちに戻って来る。」
「なんでだよ?」
「だって……近所の目もあるし…私はあんまりうろうろしない方が良いんだ。」
そう言ったのは嘘ではなかったけど、本当はシュウと離れるのが寂しくて、シュウのことが心配だったから。
「そんなこと、何も気にすることないって。
地方の大学に行ってるってことになってるんだろ?
だったら、連休に戻っても何もおかしなことないじゃないか。
交通費ももったいないし、ゆっくりして来いよ。」
「だって……別に、用事もないし……」
「実家は用事があるからって行くような所じゃないだろ。
とにかく、こっちのことは心配ないから、ゆっくりして来い。」
なによ、なによ、ゆっくり、ゆっくりって!
私は、シュウのことがこんなに心配なのに、シュウは私がいなくなってもちっとも寂しくなさそうじゃない。
おかしい!
シュウは、私のことが大好きな筈なのに、なんでそんなに平気なんだろう?
私が実家に戻って、誰か他の男と…なんて、妄想はないのか…!?
まぁ、そんなことがないことは、私自身にもよくわかってるんだけど……
それにしても、あまりにも冷たいんじゃないですか!?
私は、なんとも言えない寂しい想いを感じてた。
母さんには実家に必要なものがあるから取りに帰ると言って納得させた。
それもただの口実じゃない。
でも、取りに行くのは私のものじゃなくて兄さんのもの。
兄さんはシュウと体格が似てるから、服をもらって来ようと考えたんだ。
高校を卒業してしばらくしてから家を出てるから、家にあるのは当時のものがほとんどだけど…兄さんはその頃から背は高かったから、まぁ、なんとかなると思う。
靴も合うと良いんだけどなぁ…
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
かぐや姫奇譚?ー求婚者がダメンズばかりなんですがー
青太郎
恋愛
皆さんご存知の竹取物語。
「お前は罪を犯しました。よって穢れた下界へと追放となります」
…。
気付いたら、そのかぐや姫になっていました。
あれ?…俺、男だったはずなのに…
『…あなたは、私を補助する為の人格ではないのですか?』
日本最古の追放物語。
竹取物語とざまぁが好きな方、ぜひ軽い気持ちでお楽しみください。
【10話ぐらいまでは話の進みが遅いです】
*題名変更しました(旧:追放されましたーかぐや姫奇譚ー)
* 原文、時系列、歴史的背景に忠実ではないのでテストの役には立ちません
邪神に仕える大司教、善行を繰り返す
逸れの二時
ファンタジー
残業明けに事故に遭ってしまった一般人男性の寒波星輝(さむなみしょうき)は、なぜか邪神の祝福を受けて異世界に転移してしまう。最初こそ怪訝な態度だったものの、邪神には邪神なりの事情があることを知った星輝は、新たな世界ではサムとして、邪神に仕える大司教となることを決意する。その目的は邪神の名前を”善い”意味で人々に知らしめること。そのために大司教サムは相棒の元天使アンヘルと共に、行く先々で善行を繰り返す! *小説家になろう、ノベルアップ+ にも投稿しております。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
移転した俺は欲しい物が思えば手に入る能力でスローライフするという計画を立てる
みなと劉
ファンタジー
「世界広しといえども転移そうそう池にポチャンと落ちるのは俺くらいなもんよ!」
濡れた身体を池から出してこれからどうしようと思い
「あー、薪があればな」
と思ったら
薪が出てきた。
「はい?……火があればな」
薪に火がついた。
「うわ!?」
どういうことだ?
どうやら俺の能力は欲しいと思った事や願ったことが叶う能力の様だった。
これはいいと思い俺はこの能力を使ってスローライフを送る計画を立てるのであった。
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
その狂犬戦士はお義兄様ですが、何か?
行枝ローザ
ファンタジー
美しき侯爵令嬢の側には、強面・高背・剛腕と揃った『狂犬戦士』と恐れられる偉丈夫がいる。
貧乏男爵家の五人兄弟末子が養子に入った魔力を誇る伯爵家で彼を待ち受けていたのは、五歳下の義妹と二歳上の義兄、そして王都随一の魔術後方支援警護兵たち。
元・家族の誰からも愛されなかった少年は、新しい家族から愛されることと癒されることを知って強くなる。
これは不遇な微魔力持ち魔剣士が凄惨な乳幼児期から幸福な少年期を経て、成長していく物語。
※見切り発車で書いていきます(通常運転。笑)
※エブリスタでも同時連載。2021/6/5よりカクヨムでも後追い連載しています。
※2021/9/15けっこう前に追いついて、カクヨムでも現在は同時掲載です。
チート狩り
京谷 榊
ファンタジー
世界、宇宙そのほとんどが解明されていないこの世の中で。魔術、魔法、特殊能力、人外種族、異世界その全てが詰まった広大な宇宙に、ある信念を持った謎だらけの主人公が仲間を連れて行き着く先とは…。
それは、この宇宙にある全ての謎が解き明かされるアドベンチャー物語。
赤い龍の神器で、アポフィスの悪魔を封印せよ
lavie800
ファンタジー
船の中で女流棋戦を見学していたハヤトは波に飲み込まれて遭難し、中世の王族であるローレンツ家の次男のリチャードとして生まれ変わる。また同じ船に乗っていた女流棋士の万理奈もハヤトと同じ世界に転生し王妃候補のマリナとして生まれ変わることになる。
一方、数百年前にローレンツ家の祖先に凍結封印された悪魔の女神のアポフィスが、皆既日食の日に邪悪な気のエネルギーを紫色に光る彗星から得て蘇り、人類を支配下に置き、蛇族の暗黒世界を構築しようと企んでいた。
ローレンツ家の周りでは不審で邪悪な気配に包まれようとしていた。
リチャードの親であるローレンツ一世は、邪悪な時代への始まりと祖先について記載された古文書を見つける。
ローレンツ1世は、後継ぎである長男に古文書を見せるが、長男はアポフィスの手がかりを探索する途中で忽然と姿を消す。
しかし、古文書には、邪悪な存在に立ち向かうには、赤い龍の紋様を纏った太陽の女神の末裔を見つけ出し、ローレンツ家の祖先がかつて邪悪な存在を封印した際に必要だった3つの神器を探し出さなければならないと書かれてあった。
3つの神器とは、赤い龍の紋章が刻印されたムラマサの剣、赤い太陽光が輝く奇跡のペンダント、凄まじい温度変化を引き起こす赤い月がある龍の駒に囲まれたティアラの3つである。リチャードとマリナは突然ローレンツ王から追放される。リチャードとマリナは同じ城から追放された仲間と共に、3つの神器を探し求める旅が始まった。
そして苦難の後、3つの神器を手にしたリチャードとマリアは神器のパワーを引き出す方法がわからないまま邪悪な悪魔と戦うが、苦戦を強いられる。
3つの神器のパワーを引き出すには、どうしたらいいのか、
リチャードは転生前の時代から持ってきた将棋の駒にヒントがあると思い出す。
二人は邪悪な存在の封印に成功するのか。
主要登場人物
王飛 万理奈(マリナ):美少女女流棋士 ※( )は転生後
ハヤト(リチャード・ローレンツ):将棋とフェンシングが趣味の男 ※( )は転生後
アポフィス:邪悪な女神で悪魔の化身
ブームスラン:アポフィスの家来
ローレンツ王:リチャードの親でアーカート地方の王
メイ:リチャードの兄で第一王子
イザベラ:女占い師
ルシア:ローレンツ家のメイド長(侍女)
アリス:ローレンツ家のメイド見習い
トマス:リチャードの侍従、ルシアの従弟
アーム:従卒長
ベクター:ローレンツ家と対立している豪族
アリシア:ベクターの愛人
滝 宗因(タキ):男性棋士 ※は転生後
エミリ:修道女、アームの従妹
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる