16 / 171
side ひかり
16
しおりを挟む
シュウは、てきぱきと掃除をこなし、さらに、押し入れから布団を取り出しそのまま庭へ出て行った。
「庭、雑草だらけじゃないか!」
戻って来るなり、シュウの怒声が飛んだ。
「あ…あぁ…そうだったっけ?
あんまり、外出ないから…」
私はへらへらと笑って誤魔化そうとしたのだけど、シュウの吊り上がった目は私を刺すように睨んでて…
「……えっと…
私、草むしりしてこようかな…」
そう言った途端、シュウの表情がやわらいだものに変わり、大きく頷いた。
「よし!その代わり、昼飯にはひかりの大好きなオムライス作ってやるからな!」
「えっ!オムライス!?」
そんなことでやる気になってしまう自分が切なかったけど、でも、最近じゃ母さんが来てくれた時か、町に買い物に出た時くらいにしか食べられない貴重なメニューで…
だって、自分じゃ作れないんだもん。
それにしても、オムライスが私の大好物だと知ってるあたり…やっぱり、このシュウは私の作ったシュウなんだ!?
それは不思議な感覚だけど、なんだかくすぐったさのような嬉しさもあり…
私は、大好きなオムライスを頭に描き、軍手をはめて意気揚揚と庭へ向かった。
(……マジですか…)
久し振りにしみじみと見た庭の風景は、私の知ってるものとは違ってた。
そうだ…最初に来た時もこんな状態だったんだ。
それを父さんと母さんが一日がかりで綺麗にしてくれて…
この前、来た時も父さんは気になってたみたいだけど、時間がなかったから片付ける暇がなくて…
私は洗濯物も面倒だから外には干してないから、庭がこんなことになってるなんて気付いてもいなかった。
これを一人で全部むしるのかと思ったら、眩暈がしそうな気分だったけど、ちゃんとやらないとまたシュウに怒られそうだし、オムライスも作ってもらえない。
(よし!頑張るぞ!)
無理やり自分にそう言い聞かせた私は、気合いを入れて、我が物顔でのさばっている雑草の海に飛びこんだ。
「庭、雑草だらけじゃないか!」
戻って来るなり、シュウの怒声が飛んだ。
「あ…あぁ…そうだったっけ?
あんまり、外出ないから…」
私はへらへらと笑って誤魔化そうとしたのだけど、シュウの吊り上がった目は私を刺すように睨んでて…
「……えっと…
私、草むしりしてこようかな…」
そう言った途端、シュウの表情がやわらいだものに変わり、大きく頷いた。
「よし!その代わり、昼飯にはひかりの大好きなオムライス作ってやるからな!」
「えっ!オムライス!?」
そんなことでやる気になってしまう自分が切なかったけど、でも、最近じゃ母さんが来てくれた時か、町に買い物に出た時くらいにしか食べられない貴重なメニューで…
だって、自分じゃ作れないんだもん。
それにしても、オムライスが私の大好物だと知ってるあたり…やっぱり、このシュウは私の作ったシュウなんだ!?
それは不思議な感覚だけど、なんだかくすぐったさのような嬉しさもあり…
私は、大好きなオムライスを頭に描き、軍手をはめて意気揚揚と庭へ向かった。
(……マジですか…)
久し振りにしみじみと見た庭の風景は、私の知ってるものとは違ってた。
そうだ…最初に来た時もこんな状態だったんだ。
それを父さんと母さんが一日がかりで綺麗にしてくれて…
この前、来た時も父さんは気になってたみたいだけど、時間がなかったから片付ける暇がなくて…
私は洗濯物も面倒だから外には干してないから、庭がこんなことになってるなんて気付いてもいなかった。
これを一人で全部むしるのかと思ったら、眩暈がしそうな気分だったけど、ちゃんとやらないとまたシュウに怒られそうだし、オムライスも作ってもらえない。
(よし!頑張るぞ!)
無理やり自分にそう言い聞かせた私は、気合いを入れて、我が物顔でのさばっている雑草の海に飛びこんだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
チート狩り
京谷 榊
ファンタジー
世界、宇宙そのほとんどが解明されていないこの世の中で。魔術、魔法、特殊能力、人外種族、異世界その全てが詰まった広大な宇宙に、ある信念を持った謎だらけの主人公が仲間を連れて行き着く先とは…。
それは、この宇宙にある全ての謎が解き明かされるアドベンチャー物語。
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
八月のツバメ
朱宮あめ
青春
主人公・律は五年前に亡くなった恋人を忘れられずに日々を過ごしていた。そんなとき、夏の河川敷で、つばめという家出少女に出会う。
行く宛てのないつばめを見捨てられず、律とつばめ、そして野良猫と奇妙な同居生活が始まるが……。
八月の河川敷。俺は、神様が産み落としたツバメと出会った。
かぐや姫奇譚?ー求婚者がダメンズばかりなんですがー
青太郎
恋愛
皆さんご存知の竹取物語。
「お前は罪を犯しました。よって穢れた下界へと追放となります」
…。
気付いたら、そのかぐや姫になっていました。
あれ?…俺、男だったはずなのに…
『…あなたは、私を補助する為の人格ではないのですか?』
日本最古の追放物語。
竹取物語とざまぁが好きな方、ぜひ軽い気持ちでお楽しみください。
【10話ぐらいまでは話の進みが遅いです】
*題名変更しました(旧:追放されましたーかぐや姫奇譚ー)
* 原文、時系列、歴史的背景に忠実ではないのでテストの役には立ちません
婚約破棄されたけど前世が伝説の魔法使いだったので楽勝です
sai
ファンタジー
公爵令嬢であるオレリア・アールグレーンは魔力が多く魔法が得意な者が多い公爵家に産まれたが、魔法が一切使えなかった。
そんな中婚約者である第二王子に婚約破棄をされた衝撃で、前世で公爵家を興した伝説の魔法使いだったということを思い出す。
冤罪で国外追放になったけど、もしかしてこれだけ魔法が使えれば楽勝じゃない?
ファントーシュ 私は魔法が使えない
かける
ファンタジー
アカネ・シズクノは小さいころから魔法が使えなかった。
自分はいつか魔女になるんだ。そう願わぬ願いを毎日信じていた。
ある日、アカネは師匠となる魔女と出会った。
アカネは魔女についていき、弟子となった。
物語はそうしたアカネが成長し、魔法使いとなったお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる