あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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2008クリスマス企画

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「何やってんだ。おまえ…」

 「う……ボンドが足りない…くっつかない…」

 滝のような涙を流しながら、アズロは割れた机を両脇から抱え込む…



「……わかった、わかった。
お宝を掘り出したら、俺が新しい机を買ってやるから安心しな!」

 「ほ、本当ですか、クロッカスさん!」

アズロの瞳に希望の光が輝いた。



 「そ、それなら、俺は、壁の穴を修理してやるよ!
 俺が探してる石を掘り出したらすぐに取りかかってやる!」

 「ほ、本当ですか、ジュリアンさん!」

アズロは、ジュリアンとクロッカスの手を握りながら、絶対ですよ!と念を押していた。



 「それはそうと、俺の宝だが…」

 「おまえもずいぶんとしつこいな!
あそこを先に掘ってたのは俺だって言ってるだろうが!」

 「しつこいのは貴様の方だ!
あそこの宝は俺のもんだって言ってるだろうが!」

 学習能力のない二人は、またくだらない言い争いを始めた。



 「本当にあんたらはやかましいね!
じゃあ、宝は先に掘り出した方のものってことにすりゃ良いじゃん!」

 「何?!」

その言葉を聞くや否や、クロッカスは外へ飛び出した。



 「く、くそっ!負けるもんか!」

ジュリアンもすぐにクロッカスを追いかける。



 「ま、待って下さいよ~!」

アズロも二人を追って大空へ飛び立った。



 *



ダダダダだダダダダダ……
ガツン、ガツン、ガツン!



あたりにはジュリアンのつるはしを振るう音と、クロッカスのマシンガンの音が響き渡る。



 「頑張れ~!どっちも頑張れ~!」

 太陽の日差しにキラリと輝くお玉を振りまわしながら、アズロは力の限りに二人を応援する。



その時だった…
どさりと崩れた土砂の中から、小さな瓶が転がり落ちた。
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