あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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虹企画10000HIT記念SS

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「あんな、最後に記念のイベントせーへん?
この壺にみんなの国のもんを入れて、虹の根元に埋めんねん。」

「で…?」

「なにが?」

「だから、埋めてどうすんのか?って聞いてんの!」

「…どうするて…埋めるだけや。
記念やん。記念!」

馬鹿馬鹿しいがやってやれば気がすむんだろう…
いや、きっとやってやらないとマールは納得しない。
そう考え、みんなはしぶしぶ協力することにした。



「では、私はサウレのコインを…
持って帰ってもどうせ使えませんから…」

壺の中に乾いた音がして黄金のコインが落ちた。



「じゃ、俺はピアラ=ラスワルドの小旗や。藍染めやで~」

かすかな音を立てて、小旗が入った。



「それじゃ…と…う~ん、私は…葉っぱ!」

「って、それ、服についてたやつなんじゃあ…」

「良いじゃない!
っていうか、これ以外緑の国のものは持ってないんだから。」

「うん、なんでもええで。
記念や、記念!」

メグは濃い緑色のはっぱを入れた。



「オレは…これで良いか?」

和成が差し出したのは水筒だった。

「蒼月の水が入ってるんだけどな、ダメか?」

「いや、全然ええよ!」

ゴトンという音と共に、和成の水筒が入れられた。



「じゃ、私は短剣にするね。
帰ったら、これはもう必要ないと思うから。」

羽歌が、自分の短剣を壷の中にそっと入れる。



「私は…この手拭いで良いかな?
赤の国の兵隊の血がついている…」

一瞬にして、あたりは冷たい空気に包まれる…



「ま、まぁ、ええんとちゃう?
うん、そんなんもありやろ。あり。」

どす黒くなった血に染まった手拭いが壷の中に入れられた。



「じゃ、俺達はミカンなのねん!
おいしいから帰ってから食べようと思ってたんだけど置いていくのねん。」

「って、メリー!
まだこんなにあるじゃん!」

世夜がパンパンに膨らんだメリーのバッグをのぞきこんでいる。

「それはナイショなのねん!」

そう言いながら、羊がミカンを壺に投げ込んだ瞬間、壺からあやしげな白い煙がボンッと立ち上った。



「うわっ!なんだ??」

皆が息を飲む中、煙は一瞬で静まった。



「あぁ、びっくりした!
羊君、あんた、何入れたのよ!」

「何って、ただのミカンなのねん。」

「そんなわけないでしょ!
あんたが何かを入れた途端にあんなことに…」

「うわあ~!壺の中が!!」

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