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三番目の夢
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「だけど……ある時、悟の体に異変が起きたんだ。
最初は、疲れが出ただけだって軽く思ってたみたいで、病院にも行かなかったらしい。
でも、症状はだんだん重くなって、体重は減って…
それで、病院に行ったら大きな病院を紹介されて…」
優君は、沈んだ声でそう話してくれた。
「それでも、悟は、絶対に治すって言ってて、辛い治療にも立ち向かったし、高価な健康食品や新薬を試してみたりもしてた。
明日香に会うまでに、絶対に元気になるんだって…本当にあいつめちゃめちゃ頑張ってたんだ…」
優君の瞳から、大きな涙がこぼれ落ちた。
「だけど…病気は進行するばかりだった。
ある時、悟から、20年後…君と会うその日に悟のふりをして会いに行くことを託されたんだ。
……どれほど頑張っても、病気は治らないって悟ったんだと思う。
もしも、君に会えたら…ダンサーになる夢は叶えられなかったけど、今はとても幸せに暮らしてるって伝えてほしいって。
自分が死んだことは、絶対に言わないでくれって。
本当のことを知ったら、明日香はきっと悲しむからって…念を押された。」
(悟……何、つまらない気を遣ってるのよ…)
無性に悔しくて私は唇を噛み締めた。
最初は、疲れが出ただけだって軽く思ってたみたいで、病院にも行かなかったらしい。
でも、症状はだんだん重くなって、体重は減って…
それで、病院に行ったら大きな病院を紹介されて…」
優君は、沈んだ声でそう話してくれた。
「それでも、悟は、絶対に治すって言ってて、辛い治療にも立ち向かったし、高価な健康食品や新薬を試してみたりもしてた。
明日香に会うまでに、絶対に元気になるんだって…本当にあいつめちゃめちゃ頑張ってたんだ…」
優君の瞳から、大きな涙がこぼれ落ちた。
「だけど…病気は進行するばかりだった。
ある時、悟から、20年後…君と会うその日に悟のふりをして会いに行くことを託されたんだ。
……どれほど頑張っても、病気は治らないって悟ったんだと思う。
もしも、君に会えたら…ダンサーになる夢は叶えられなかったけど、今はとても幸せに暮らしてるって伝えてほしいって。
自分が死んだことは、絶対に言わないでくれって。
本当のことを知ったら、明日香はきっと悲しむからって…念を押された。」
(悟……何、つまらない気を遣ってるのよ…)
無性に悔しくて私は唇を噛み締めた。
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