あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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三番目の夢

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熱いコーヒーを飲んでも、体が震えて止まらない。
 嫌な胸騒ぎもおさまらない。
だから、なかなか聞けなかった。
どうして、あなたが悟の代わりに来たのか?って質問を…



「ごめん……今日のことは、悟に頼まれたことなんだ。」



 私が黙ってたせいか、優君が唐突にそう話した。



 「悟は……どうして来なかったの…?」

 私は声を絞り出した。
 知りたいけど、知りたくないその質問をついに口にした。



 「悟は……来られなかったんだ。」

 曖昧な言葉…
だけど、私にはその理由がなぜだかわかった。



 「はっきり言って。」

 「悟は……もうこの世にはいないから…」



ショックだったけど…それは私が予想していたことだった。



 (そうじゃなきゃ、悟が来ないはずがない…!)



 知らないうちに私の頬を涙が伝っていた。



 「実は……」

 暗い顔をした優君が、静かな声で話し始めた。
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