あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
289 / 406
第二ボタン

しおりを挟む
「あ、あの……」

 私はしつこく声をかけた。



なんでそんなことをしてしまったのかわからなかったけど、なんだか放っておけないような気持ちになってしまったから…



その人は、また黙ったまま背を伸ばし、私の方をじっと見ていた。



 「何を探してらっしゃるんですか?
 私も一緒に探します!」

 「……いえ……これは自分のしでかしたことですから……」

 「で、でも……一人で探されるより、二人の方がきっとみつかりやすいですよ。」

 私がそう言うと、その人は一瞬はっとしたような顔をして……



「……ボタンを探しています。」

 静かな声でそう言った。
ふと見ると、その人の着てる軍服の二番目のボタンが取れていた。
えらく真剣に探してるように見えたけど、それがボタンだったなんて…ちょっとおかしな気がした。
でも、嘘を吐くはずはない。


だから、私はその人の傍でボタンを探した。
 真鍮?なのか、少しくすんだ金色の小さなボタンを……

しおりを挟む

処理中です...