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ハーフハートチョコレート
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*
「しっかりするんだぞ。
何か困った事があったら、俺に電話しな。」
そう言いながら、リュウは俺に名刺をくれた。
「ありがとうございます…」
リュウと別れた後、俺は酒を買いこみ久しぶりに浴びる程飲んだ。
飲まなきゃいられなかった。
飲んで飲んで意識がなくなる程飲んで…近所迷惑も顧みず、一人で悪態を吐き、わめき、暴れた。
それでも俺の気持ちが落ち着くことはなかったが。酒の力で俺はいつしか深い眠りに落ちていた…
*
目が覚めた時、俺の顔をのぞきこんでいたのは、ネット天国の従業員・三宅明里だった。
二ヶ月ほど前から働き出した店で一番の新米だが、覚えも早く気の利く女の子だった。
「亀田さん!大丈夫ですか!?
あ、ごめんなさい、勝手に入っちゃって。」
「明里ちゃん…僕は…」
「亀田さんが無断欠席なんておかしいから、見に来たんです。
そしたら鍵があいてて…中をのぞいたら亀田さんが倒れてたから心配しましたよ。
あ!店長には風邪で倒れてたって連絡しときましたから。」
「風邪…?
いや、僕は…」
「良いんです!!
あ、今、冷たいお水持ってきますね!」
「ありがとう、明里ちゃん…」
明里は、二日酔いで酷い頭痛のする俺に優しくしてくれた。
夕飯の支度までしてくれた。
久しぶりに食べた心のこもった手料理に、俺は胸が熱くなった。
すべてに絶望し、死にたいとさえ考えていた俺の心に小さな希望の光が灯った気がした。
それから、俺と明里の仲は急速に接近して行った。
それと共に、俺も少しずつ立ち直っていくことが出来た。
しばらく経ってから、冴神剣の死についても話した。
もちろん、本当のことは言えないから、とても大切だった友人だと伝えておいた。
彼女はどんな時にも俺の話を真剣に聞き、優しく接してくれた。
何度も自分の身に起きた出来事を話してしまおうかと思ったが、それだけはやはり出来なかった。
あんな話、一体、誰が信じるっていうんだ。
だが、彼女の支えが大きな力となり、俺はようやく前向きに生きていくことを考えられるようになっていた。
やがて月日は流れ…
「しっかりするんだぞ。
何か困った事があったら、俺に電話しな。」
そう言いながら、リュウは俺に名刺をくれた。
「ありがとうございます…」
リュウと別れた後、俺は酒を買いこみ久しぶりに浴びる程飲んだ。
飲まなきゃいられなかった。
飲んで飲んで意識がなくなる程飲んで…近所迷惑も顧みず、一人で悪態を吐き、わめき、暴れた。
それでも俺の気持ちが落ち着くことはなかったが。酒の力で俺はいつしか深い眠りに落ちていた…
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目が覚めた時、俺の顔をのぞきこんでいたのは、ネット天国の従業員・三宅明里だった。
二ヶ月ほど前から働き出した店で一番の新米だが、覚えも早く気の利く女の子だった。
「亀田さん!大丈夫ですか!?
あ、ごめんなさい、勝手に入っちゃって。」
「明里ちゃん…僕は…」
「亀田さんが無断欠席なんておかしいから、見に来たんです。
そしたら鍵があいてて…中をのぞいたら亀田さんが倒れてたから心配しましたよ。
あ!店長には風邪で倒れてたって連絡しときましたから。」
「風邪…?
いや、僕は…」
「良いんです!!
あ、今、冷たいお水持ってきますね!」
「ありがとう、明里ちゃん…」
明里は、二日酔いで酷い頭痛のする俺に優しくしてくれた。
夕飯の支度までしてくれた。
久しぶりに食べた心のこもった手料理に、俺は胸が熱くなった。
すべてに絶望し、死にたいとさえ考えていた俺の心に小さな希望の光が灯った気がした。
それから、俺と明里の仲は急速に接近して行った。
それと共に、俺も少しずつ立ち直っていくことが出来た。
しばらく経ってから、冴神剣の死についても話した。
もちろん、本当のことは言えないから、とても大切だった友人だと伝えておいた。
彼女はどんな時にも俺の話を真剣に聞き、優しく接してくれた。
何度も自分の身に起きた出来事を話してしまおうかと思ったが、それだけはやはり出来なかった。
あんな話、一体、誰が信じるっていうんだ。
だが、彼女の支えが大きな力となり、俺はようやく前向きに生きていくことを考えられるようになっていた。
やがて月日は流れ…
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