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ハーフハートチョコレート
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俺の部屋には店の若い者達が交代で掃除しに来ていたが、元々俺はどちらかというと几帳面な方だ。
彼らが帰った後に気に入らない所を掃除し直していたくらいだから、俗に言う潔癖症に近いのかもしれない。
こんな所、普通だったら入るのも嫌なくらいだ。
だが、ここしか今の俺には居場所がない。
だからこそ、少しでも綺麗にしたかった。
朝から何も食べずに汗を流して掃除をしたおかげで、部屋の中は少しマシになっていた。
でも、まだあとしばらくはかかるだろうと考えていた所、どこかで携帯のベルの音が鳴った。
なんだかよくわからない子供の聞くような曲だ。
音を頼りに携帯を探すと、薄汚れたジーンズのポケットの中からそれはみつかった。
画面には「ネット天国」と表示されていた。
「はい。」
俺が恐る恐る電話に出ると、怒声が耳をつんざいた。
「こらー!どん亀!
今、何時だと思ってるんだ!
クビになりたいのかー!」
俺はすぐにそれが亀田の勤めるネットカフェからのものだと気付いた。
「す…すみません。
今日はちょっと体調が悪くて…」
「ぐだぐだ言ってないで今すぐに来い!
来なかったらクビだからな!」
そう言って、一方的に電話は切れた。
俺はあわてて外へ飛び出した。
間抜けな話だが、外に出てから、俺はネット天国の場所を知らない事に気が付いた。
しかし、すぐに、亀田とあの喫茶店で出会った時「この近くのネットカフェで働いてる」と言っていたことを思い出し、俺は喫茶店に向かった。
そこで聞けばわかると考えたのだ。
俺の思惑通り、ネット天国の場所はすぐにわかった。
店に着くなり、時間に遅れたことで店長にどやされ、仕事の手順がわからず戸惑っていてまたどやされ、とにかくずっと怒られてばかりだった。
それも無理のない話なのだが、事情を話すわけにもいかない。
俺は、他の従業員のすることをよく見てその手順を叩きこんだ。
そして、店長には昨夜転んで頭を打ったと嘘を吐いた。
それは、今までの亀田と違うことをおかしいと思われないための嘘だった。
意外にも店長はそんな俺のことを心配してくれた。
彼らが帰った後に気に入らない所を掃除し直していたくらいだから、俗に言う潔癖症に近いのかもしれない。
こんな所、普通だったら入るのも嫌なくらいだ。
だが、ここしか今の俺には居場所がない。
だからこそ、少しでも綺麗にしたかった。
朝から何も食べずに汗を流して掃除をしたおかげで、部屋の中は少しマシになっていた。
でも、まだあとしばらくはかかるだろうと考えていた所、どこかで携帯のベルの音が鳴った。
なんだかよくわからない子供の聞くような曲だ。
音を頼りに携帯を探すと、薄汚れたジーンズのポケットの中からそれはみつかった。
画面には「ネット天国」と表示されていた。
「はい。」
俺が恐る恐る電話に出ると、怒声が耳をつんざいた。
「こらー!どん亀!
今、何時だと思ってるんだ!
クビになりたいのかー!」
俺はすぐにそれが亀田の勤めるネットカフェからのものだと気付いた。
「す…すみません。
今日はちょっと体調が悪くて…」
「ぐだぐだ言ってないで今すぐに来い!
来なかったらクビだからな!」
そう言って、一方的に電話は切れた。
俺はあわてて外へ飛び出した。
間抜けな話だが、外に出てから、俺はネット天国の場所を知らない事に気が付いた。
しかし、すぐに、亀田とあの喫茶店で出会った時「この近くのネットカフェで働いてる」と言っていたことを思い出し、俺は喫茶店に向かった。
そこで聞けばわかると考えたのだ。
俺の思惑通り、ネット天国の場所はすぐにわかった。
店に着くなり、時間に遅れたことで店長にどやされ、仕事の手順がわからず戸惑っていてまたどやされ、とにかくずっと怒られてばかりだった。
それも無理のない話なのだが、事情を話すわけにもいかない。
俺は、他の従業員のすることをよく見てその手順を叩きこんだ。
そして、店長には昨夜転んで頭を打ったと嘘を吐いた。
それは、今までの亀田と違うことをおかしいと思われないための嘘だった。
意外にも店長はそんな俺のことを心配してくれた。
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