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クリスマスプレゼントは靴下に

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「ええ、ええ、どうせ私はおばばですよ。
それがどうしたってんだ!
 生きてりゃ、誰だって年とるんだよ!
おめぇらも、すぐにばあさんになるんだからな!
そうなった時に、若い子にさんざん陰口言われろってんだ!」



 憂さ晴らしには飲むのが一番だ。
だけど、居酒屋は若いグループ客がほとんどで、そういう奴らを見ていたら、前島やら坂本達のことが思い出されて不愉快になって来て、私はその店を飛び出した。
どこか、もっと人が少なくて静かな店で飲み直しだ。
そういう店はたいてい目立たない路地にひっそりとあるもの…
だから、居酒屋を出てからはとにかく路地を見て歩いた。
このあたりのことは割りと知ってたはずだけど、こんなに路地があることは知らなかった。
いつの間にか半ば迷子状態…
開店してるんだかしてないんだかよくわからない、ちょっとあやしげな店もあって、きっと、素面の時の私ならこんな所からは早く出ようと思うんだろうけど、酔ってたせいか、そんなことも特になんとも思わなかった。



(あれ……?)



ほろ酔い加減の私の目に、古ぼけた小さな飲み屋の看板が映った。



『しあわせ屋』



あまりにもベタなその屋号に、思わず私は失笑した。



「しあわせ屋?
よ~し!それなら、私も幸せにしてもらおうじゃないの!」



私の口が勝手にそんなことをつぶやき、店の扉をがらがらと開いた。



「いらっしゃい。」



 小さなカウンターの中には、白いひげを生やした小柄なおじいさんがいて、まるで仏様みたいな優しい笑顔で私を迎えてくれた。
その笑顔を見ているだけで、私はなんだか胸がいっぱいになって涙がこぼれそうになってきた。



(いかんいかん!病んでるぞ、私……
おやじの顔見ただけで涙ぐむなんて、これはかなり重症だ!)



「お酒ちょうだい!
それと、なにかおいしいもの。」

「はい。」



店の中には私しかいなかった。
まぁ、確かに外観は良いとは言えないけど…もちろん、中だって、間違ってもおしゃれとは言えないし、特別、綺麗ってわけでもないけど、それでも、なんていうか、すっごく落ち着く……
知り合いの家にでも遊びに来たような親しみを感じる。
 店のおじいさんも泣きたくなる程優しそうな顔してるし、くだらない話でもいやがらずに聞いてもらえそうだ。
それにしても、こういう雰囲気はけっこう好まれると思うんだけど、なんでこんなにガラガラなんだろう……?
あ、もしかしたら、すっごく料理がまずいとか!?
……ま、良いや。
今日は、飲めれば良いんだから!
まずい料理でもなんでも来いってもんだ。
 山ほど飲んで、いやなことなんて全部忘れてやるんだから……! 
 
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