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かぼちゃの魔法

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「やっぱり、今年も行くのか?」

 「当たり前だろ?
 元々、この話を教えてくれたのは兄ちゃんじゃないか。
 僕はみつかるまで諦めないよ!」

ティムは、そう言うと僕にくるりと背を向けた。



 (あ~あ、つまんないこと言っちゃったな…)



 俺は、あんな話をしてしまったことを今更ながら後悔してた。
ハロウィンの日の0時ちょうどに、世界のどこかに金色に輝くかぼちゃがあらわれるという。
そのかぼちゃを胸に抱いて願い事をすると、どんな願いでも叶うのだとか…

友達から聞いたその話を俺はまだ幼かった弟のティムに話した。
 当時、まだ10歳だった俺はすっかりその話を信じ込み、弟に一緒にかぼちゃを探しに行こうと持ちかけた。
ティムは俺より6つ年下だから、その話もどの程度理解していたのかはわからないが、とにかくその年から俺達の黄金のかぼちゃ探しが始まったというわけだ。
いや、その年は実は探しには行かなかったんだ。
 夜の11時になったら二人でこっそり家を出る計画だったのに、俺達はいつの間にか眠ってて目が覚めたのは朝だったのだから。

 次の年からはそんなへまはしないようにと、俺達は入念に計画を練り、昼寝をして夜中に備えた。
かぼちゃ畑の場所も前もって調べておいた。
今度はもちろん寝過ごすことはなかった。
俺とティムは両親にみつからないようにそっと家を抜け出し、近所のかぼちゃ畑を見て歩いたんだが、結局、黄金のかぼちゃはみつけることは出来なかった。

それから毎年、俺達は、ハロウィンの夜にはかぼちゃ畑に黄金のかぼちゃを探して回るようになったんだ。
だけど、5年も経った頃、俺はいいかげんかぼちゃ探しに飽きてきた。
 飽きたというよりは、大きくなってわかったんだと思う。
 願いを叶えてくれる黄金のかぼちゃなんてものがあるわけない。
そんなのは、誰かの作り話なんだってことに気付いたんだな。
だが、ティムは諦めなかった。
 昨年、つい、俺がそんなものは作り話だから探しに行っても無駄だと言ったら、ティムは本気になって怒りだし、喧嘩になってしまった。
ティムはこれからは一人で探しに行くと言い出だした。
そう言われても、まだ子供のティムを一人で行かせるわけにはいかない。
 結局、俺は渋々着いていくことになってしまった。
まぁ、元はといえば、俺が言ったことなんだし、ティムももう少し大きくなればきっとわかってくれるだろう。
それまではつきあってやるしかない… 
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