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子鬼と姫
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一通りの挨拶が済んだ後、国王は広間の中をぐるっと見まわし、ジョセフィーヌの所でその視線を留めると広間の皆に聞こえるような大きな声でこう言った。
「クリストファー…ランスフォールの姫君、ジョセフィーヌ様にダンスのお相手をお願いしたらどうだ?」
「え?は、はい、父上。」
クリストファーは広間を横切り、一直線にジョセフィーヌの所へ歩く。
「ランスフォールの姫君、ジョセフィーヌ様ですね?
よろしければ、ダンスのお相手をお願いできないでしょうか?」
間近で見たクリストファーの美しさは、息を飲むばかりだった。
長い睫毛に縁取られた緑色の瞳は、ゴブリンのオイラでさえみつめていると吸いこまれそうな気分になってしまう。
それに、顔とは少し不釣合いな程、落ちついて響きのある声はとても魅力的だった。
「……ええ、喜んで。」
オイラはりぼんから払いのけられ、ジョセフィーヌは差し出されたクリストファーの手に自分の手を重ねて、二人は広間の中央に進み出た。
楽団がゆったりとしたワルツを奏で始め、クリストファーとジョセフィーヌはそれに合わせて華麗に舞う。
二人共、素晴らしくダンスがうまく、その容姿と相俟ってまるで絵画のように美しい。
広間のあちこちから、感嘆の溜息が漏れた。
それは、感嘆と同時に、諦めの溜息だったのかもしれない。
こんな美しい姫に敵うわけがないという諦め、国王が指名したのだからお妃はジョセフィーヌに決まったのだろうという諦め…
オイラがフォオナとクリストファーの邪魔をする必要もなさそうだ。
本当に、ジョセフィーヌはこのままクリストファーと結婚してしまうかもしれない。
そうなったら、オイラはどうなってしまうんだろう…?
気ままな姫様から解放されたらほっとするはずなのに、なぜだかオイラは寂しい気持ちを感じてた。
「クリストファー…ランスフォールの姫君、ジョセフィーヌ様にダンスのお相手をお願いしたらどうだ?」
「え?は、はい、父上。」
クリストファーは広間を横切り、一直線にジョセフィーヌの所へ歩く。
「ランスフォールの姫君、ジョセフィーヌ様ですね?
よろしければ、ダンスのお相手をお願いできないでしょうか?」
間近で見たクリストファーの美しさは、息を飲むばかりだった。
長い睫毛に縁取られた緑色の瞳は、ゴブリンのオイラでさえみつめていると吸いこまれそうな気分になってしまう。
それに、顔とは少し不釣合いな程、落ちついて響きのある声はとても魅力的だった。
「……ええ、喜んで。」
オイラはりぼんから払いのけられ、ジョセフィーヌは差し出されたクリストファーの手に自分の手を重ねて、二人は広間の中央に進み出た。
楽団がゆったりとしたワルツを奏で始め、クリストファーとジョセフィーヌはそれに合わせて華麗に舞う。
二人共、素晴らしくダンスがうまく、その容姿と相俟ってまるで絵画のように美しい。
広間のあちこちから、感嘆の溜息が漏れた。
それは、感嘆と同時に、諦めの溜息だったのかもしれない。
こんな美しい姫に敵うわけがないという諦め、国王が指名したのだからお妃はジョセフィーヌに決まったのだろうという諦め…
オイラがフォオナとクリストファーの邪魔をする必要もなさそうだ。
本当に、ジョセフィーヌはこのままクリストファーと結婚してしまうかもしれない。
そうなったら、オイラはどうなってしまうんだろう…?
気ままな姫様から解放されたらほっとするはずなのに、なぜだかオイラは寂しい気持ちを感じてた。
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