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子鬼と姫
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「ジョーイ、ちょっとここに来なさい。」
ある時、オイラは姫様に呼ばれた。
こうやってあらためて呼ばれる時は、決まって何か問題のある時だ。
オイラはいやな予感を感じながら、姫様の前に歩み出た。
「ジョーイ、ちょっと遠くに行くわよ。」
『え…?』
姫様の話はいつも唐突だ。
順序立てて話す事はない。
まずは決定事項から話し始めるんだ。
それから、ぽつりぽつりと話される言葉から、遠くに行く理由をオイラは理解した。
来週、遠いイグリーダの国の王子・クリストファーの誕生日を祝う舞踏会が催され、そこにジョセフィーヌ姫様も呼ばれたということだった。
誕生日の祝いというのは実は口実に近いもので、本当はお妃選びの舞踏会なのだとか。
クリストファーは、容姿端麗、頭脳明晰なことで若い姫様たちの間では有名な人だということだった。
『ジョセフィーヌはクリストファーが好きなの?』
「ジョーイ…あなた、何もわかってないのね…
私はこの国の王女、いつ、どんな人と結婚させられるかわからないのよ。
私が14歳の時のこと、あなただって知ってるでしょう?」
姫様が何の話をしてるのかはオイラにもすぐわかった。
姫様が14歳の時、女王様が姫様に縁談を持ち込んだ。
相手は大国の王だったけど、なんといっても姫様はまだ14歳、しかもその相手は国王よりも年上だったこともあり、さすがに国王が反対された。
「義母様は私を一刻も早く嫁がせようとしている…
そんなことわかってるわ。
だったら、義母様に押しつけられる前に自分で選んで少しでもカッコイイ人と結婚したいもの…」
そう話すジョセフィーヌはどこか寂しそうだった。
ジョセフィーヌの本当のお母さんは彼女を産んですぐに亡くなり、彼女が七歳の頃に今のお妃様が嫁いで来られた。
特別酷い仕打ちを受けていたわけじゃあないけど、ジョセフィーヌが小さな頃から寂しい想いをしていたのは本当のことなんだ。
国王はただでさえお忙しい。
それに、お妃様が来られて三年後に弟君が産まれてからは、国王もそっちにかかりっきりで、彼女の身近にいるのは使用人だけだったんだから。
「だから、なんとかして私が気に入られるように頑張るのよ!
特に、フィオナには注意するのよ!」
フィオナというのはイグリーダの隣のシューペンという小さな国の王女で、クリストファーとはおさな馴染みのような関係らしい。
とても美しく評判も良い王女だが、クリストファーより二つ年上なこととイグリーダに比べ小さな国であることから、二人の仲を反対する者も少なくないのだとか…
「ジョーイ、ちょっとここに来なさい。」
ある時、オイラは姫様に呼ばれた。
こうやってあらためて呼ばれる時は、決まって何か問題のある時だ。
オイラはいやな予感を感じながら、姫様の前に歩み出た。
「ジョーイ、ちょっと遠くに行くわよ。」
『え…?』
姫様の話はいつも唐突だ。
順序立てて話す事はない。
まずは決定事項から話し始めるんだ。
それから、ぽつりぽつりと話される言葉から、遠くに行く理由をオイラは理解した。
来週、遠いイグリーダの国の王子・クリストファーの誕生日を祝う舞踏会が催され、そこにジョセフィーヌ姫様も呼ばれたということだった。
誕生日の祝いというのは実は口実に近いもので、本当はお妃選びの舞踏会なのだとか。
クリストファーは、容姿端麗、頭脳明晰なことで若い姫様たちの間では有名な人だということだった。
『ジョセフィーヌはクリストファーが好きなの?』
「ジョーイ…あなた、何もわかってないのね…
私はこの国の王女、いつ、どんな人と結婚させられるかわからないのよ。
私が14歳の時のこと、あなただって知ってるでしょう?」
姫様が何の話をしてるのかはオイラにもすぐわかった。
姫様が14歳の時、女王様が姫様に縁談を持ち込んだ。
相手は大国の王だったけど、なんといっても姫様はまだ14歳、しかもその相手は国王よりも年上だったこともあり、さすがに国王が反対された。
「義母様は私を一刻も早く嫁がせようとしている…
そんなことわかってるわ。
だったら、義母様に押しつけられる前に自分で選んで少しでもカッコイイ人と結婚したいもの…」
そう話すジョセフィーヌはどこか寂しそうだった。
ジョセフィーヌの本当のお母さんは彼女を産んですぐに亡くなり、彼女が七歳の頃に今のお妃様が嫁いで来られた。
特別酷い仕打ちを受けていたわけじゃあないけど、ジョセフィーヌが小さな頃から寂しい想いをしていたのは本当のことなんだ。
国王はただでさえお忙しい。
それに、お妃様が来られて三年後に弟君が産まれてからは、国王もそっちにかかりっきりで、彼女の身近にいるのは使用人だけだったんだから。
「だから、なんとかして私が気に入られるように頑張るのよ!
特に、フィオナには注意するのよ!」
フィオナというのはイグリーダの隣のシューペンという小さな国の王女で、クリストファーとはおさな馴染みのような関係らしい。
とても美しく評判も良い王女だが、クリストファーより二つ年上なこととイグリーダに比べ小さな国であることから、二人の仲を反対する者も少なくないのだとか…
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