上 下
190 / 406
雨宿り

しおりを挟む
(雨は嫌いじゃない…
静かだし…
いやなことや悲しいことも綺麗に洗い流してくれるような気がするから…)



 「雨って、いやなことや悲しいことも綺麗に洗い流してくれるような気がするんだよね…」

 「えっ?!」

マーサの心の中の呟きをマイケルがそのまま言葉にしたようで、マーサは心臓が止まるほど驚いた。



 「どうしたの?!」

 「え……あぁ…なんでもないの。
ただ、あなたの方がすごいって…そう思っただけ。」

 「……すごいって、何が?!」

 「なんでもないわ。」

 「なんだよ、気になるじゃない!
 教えてよ!」

 「教えない~~!!」

 「マーサは意地悪だね!」

こんなやりとりを見たら、周りの人達は自分達のことをどう思うだろうか?
 初対面の…しかも、ついさっき会ったばかりのマイケルと、こんなに心を開いて話せる事が、マーサ自身、不思議でならなかった。



 「ねぇ…マーサ…
運命って信じる?」

 「運命?」

 「生まれる前から決められてたこと…」

 「その運命がどうかしたの?」

 「うん…なんか、マーサと出会えたのは運命みたいな気がするんだよね。」

 「大袈裟ね!」

 「大袈裟なんかじゃないよ!
 君とはさっき会ったばかりなのに、まるで昔からの友達みたいに話せるんだもん。
 僕、これでも、けっこう顔見知りする方なんだよ。」

 「マイケルが人見知り…」

マーサは、堪えきれずに大きな声で笑った。



 「酷いな、マーサ!
そんなに笑う事ないじゃないか。
でも…君の笑顔は可愛いね!」

 「まぁ……!」

 「マーサ…
この雨があがったら、どうするつもり?」

 「どうするって…そりゃあもちろん帰るわよ。」

 「もう~!!
ダメだよ、そんなの!」

マイケルは、子供のように唇を尖らせ、そう言った。



 「え…?だって…」

 「雨があがったら、一緒にどこかに遊びに行って、それから…」

 「え?!」

 「……マーサ。
いきなりこんなこと言って驚くかも知れないけど……僕と付き合ってくれない?」

 「え?え?なんですって?
 何言ってるの?マイケル…」

 突然の告白に、マーサは目を丸くした。



 「僕…一目で君のことが好きになったみたいなんだ。
さっきは友達って言ったけど…恋人じゃ、だめ?」

 「えーーーーー?!
そんなこと、急に言われても…」

 「だって、もしこれで最後になっちゃいやだもん。
それともマーサ…僕のことが嫌い?」

 「き…嫌いじゃないわ…でも…」

 「誰か、好きな人がいるの?」

 「そんな人いないわ…」


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵夫人のお気に入り

つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。 数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。 喜ぶ伯爵夫人。 伯爵夫人を慕う少女。 静観する伯爵。 三者三様の想いが交差する。 歪な家族の形。 「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」 「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」 「家族?いいえ、貴方は他所の子です」 ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。 「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。

1ページのあいうえお

ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
1ページの中にいろんなものを詰め込んで… あいうえお順のお題で書く短編集です。 基本1ページですが、たまにオーバーします。 主にリクエストで書かせていただきました。

機械娘の機ぐるみを着せないで!

ジャン・幸田
青春
 二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!  そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

利己的な聖人候補~とりあえず異世界でワガママさせてもらいます

やまなぎ
ファンタジー
9/11 コミカライズ再スタート! 神様は私を殉教者と認め〝聖人〟にならないかと誘ってきた。 だけど、私はどうしても生きたかった。小幡初子(おばた・はつこ)22歳。 渋々OKした神様の嫌がらせか、なかなかヒドイ目に遭いながらも転生。 でも、そこにいた〝ワタシ〟は6歳児。しかも孤児。そして、そこは魔法のある不思議な世界。 ここで、どうやって生活するの!? とりあえず村の人は優しいし、祖父の雑貨店が遺されたので何とか居場所は確保できたし、 どうやら、私をリクルートした神様から2つの不思議な力と魔法力も貰ったようだ。 これがあれば生き抜けるかもしれない。 ならば〝やりたい放題でワガママに生きる〟を目標に、新生活始めます!! ーーーーーー ちょっとアブナイ従者や人使いの荒い後見人など、多くの出会いを重ねながら、つい人の世話を焼いてしまう〝オバちゃん度〟高めの美少女の物語。

聖女なので公爵子息と結婚しました。でも彼には好きな人がいるそうです。

MIRICO
恋愛
癒しの力を持つ聖女、エヴリーヌ。彼女は聖女の嫁ぎ制度により、公爵子息であるカリス・ヴォルテールに嫁ぐことになった。しかしカリスは、ブラシェーロ公爵子息に嫁ぐ聖女、アティを愛していたのだ。 カリスはエヴリーヌに二年後の離婚を願う。王の命令で結婚することになったが、愛する人がいるためエヴリーヌを幸せにできないからだ。  勝手に決められた結婚なのに、二年で離婚!?  アティを愛していても、他の公爵子息の妻となったアティと結婚するわけにもいかない。離婚した後は独身のまま、後継者も親戚の子に渡すことを辞さない。そんなカリスの切実な純情の前に、エヴリーヌは二年後の離婚を承諾した。 なんてやつ。そうは思ったけれど、カリスは心優しく、二年後の離婚が決まってもエヴリーヌを蔑ろにしない、誠実な男だった。 やめて、優しくしないで。私が好きになっちゃうから!! ブックマーク・いいね・ご感想等、ありがとうございます。誤字もお知らせくださりありがとうございます。修正します。ご感想お返事ネタバレになりそうなので控えさせていただきます。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

日々の諸々

wuyun
エッセイ・ノンフィクション
日記とか漫画お絵描き進捗とか

処理中です...