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終わりなき旅立ち
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*
「……ゼット…
……ジョゼット…!」
「……ローラン…」
「やっと気が付いた…!
心配したよ。」
ローランは、優しい眼差しでジョゼットをみつめた。
「…ごめんなさい。」
「……ジョゼット…どうする…?このまま登り続けるのかい?
こんな調子で、向こう側まで行けると思うかい?」
「………でも、あと少しだったら…」
「僕は…もういやだ。
君がこんな姿になって苦しむのを見てるのは辛い。
こんなにひどい山だと知ってたら連れてこなかったのに…本当にごめんよ。」
「ローラン、そんなこと言わないで。
ここへ来たいって言い出したのは私の方よ。
ごめんなさい。あなたをこんな苦しい目にあわせて…」
「僕なら大丈夫さ。
僕は子供の頃から病弱だったから、普通の人より痛みや苦しみには強いんだ。」
そう言って、ローランは苦い笑みを浮かべた。
「でも……君はそうじゃないだろ?
ジョゼット…僕、さっきみつけたんだ。
一気に麓まで戻れる穴を。
そこへ飛びこめば、溶岩の道や茨の道を通らなくても戻れるんだ。」
「…………そう。」
「そこへ飛びこめば、もう痛い想いはしなくてすむんだよ…」
ジョゼットは、唇を噛みしめ大粒の涙を流しながら、ゆっくりと首を振る。
「………ローラン…
私…逃げたくない…頑張ってここまで来たんだもの。
諦めたくないの…
私ね…あなたと出会うまでこんなに幸せだって思ったことがなかったの。
誰かにこんなに愛されたこともなかったわ。
だから、今度はあなたを幸せにしたいの!
あなたに好きな絵を描いて楽しく暮らしてほしい…!
あなたにもっと綺麗な私を見て欲しいし…あなたと一緒にもっと幸せになりたいの!!」
「ジョゼット…!
僕もそれは同じ気持ちだよ。
でも、泣き叫ぶ君を見てるのが辛いんだ。
この先、もっと痛くて苦しいことがあるかもしれないんだよ。
それを考えると僕は…」
「ごめんなさい。
私…もう泣かないから…
だから、心配しないで!
絶対に乗り越えてみせるから。
私、あなたのためならどんなに痛いことだって耐えられるわ!」
「わかったよ……でも、無理はしないで。
辛い時は、僕に守らせて。
お願いだよ。」
「わかったわ…
もう無理だと思ったら、あなたに助けを求めるわ。」
「じゃあ…行こう…!!」
二人は、もはや素直に動いてはくれない足をひきずって山を登り始めた。
「ローラン…なんだか息苦しくない?」
「そうだね…」
「もしかしたら、ずいぶん山の上の方まで来てるんじゃないかしら?」
「そうだと嬉しいね。」
そうは言いながら、ローランは心の中では違うことを考えていた。
きっとこれは痛みや出血のせいではないか…と。
まるで、肉の塊のようになったむきだしの足は直視し難い程、無残な姿になっていた。
「……ゼット…
……ジョゼット…!」
「……ローラン…」
「やっと気が付いた…!
心配したよ。」
ローランは、優しい眼差しでジョゼットをみつめた。
「…ごめんなさい。」
「……ジョゼット…どうする…?このまま登り続けるのかい?
こんな調子で、向こう側まで行けると思うかい?」
「………でも、あと少しだったら…」
「僕は…もういやだ。
君がこんな姿になって苦しむのを見てるのは辛い。
こんなにひどい山だと知ってたら連れてこなかったのに…本当にごめんよ。」
「ローラン、そんなこと言わないで。
ここへ来たいって言い出したのは私の方よ。
ごめんなさい。あなたをこんな苦しい目にあわせて…」
「僕なら大丈夫さ。
僕は子供の頃から病弱だったから、普通の人より痛みや苦しみには強いんだ。」
そう言って、ローランは苦い笑みを浮かべた。
「でも……君はそうじゃないだろ?
ジョゼット…僕、さっきみつけたんだ。
一気に麓まで戻れる穴を。
そこへ飛びこめば、溶岩の道や茨の道を通らなくても戻れるんだ。」
「…………そう。」
「そこへ飛びこめば、もう痛い想いはしなくてすむんだよ…」
ジョゼットは、唇を噛みしめ大粒の涙を流しながら、ゆっくりと首を振る。
「………ローラン…
私…逃げたくない…頑張ってここまで来たんだもの。
諦めたくないの…
私ね…あなたと出会うまでこんなに幸せだって思ったことがなかったの。
誰かにこんなに愛されたこともなかったわ。
だから、今度はあなたを幸せにしたいの!
あなたに好きな絵を描いて楽しく暮らしてほしい…!
あなたにもっと綺麗な私を見て欲しいし…あなたと一緒にもっと幸せになりたいの!!」
「ジョゼット…!
僕もそれは同じ気持ちだよ。
でも、泣き叫ぶ君を見てるのが辛いんだ。
この先、もっと痛くて苦しいことがあるかもしれないんだよ。
それを考えると僕は…」
「ごめんなさい。
私…もう泣かないから…
だから、心配しないで!
絶対に乗り越えてみせるから。
私、あなたのためならどんなに痛いことだって耐えられるわ!」
「わかったよ……でも、無理はしないで。
辛い時は、僕に守らせて。
お願いだよ。」
「わかったわ…
もう無理だと思ったら、あなたに助けを求めるわ。」
「じゃあ…行こう…!!」
二人は、もはや素直に動いてはくれない足をひきずって山を登り始めた。
「ローラン…なんだか息苦しくない?」
「そうだね…」
「もしかしたら、ずいぶん山の上の方まで来てるんじゃないかしら?」
「そうだと嬉しいね。」
そうは言いながら、ローランは心の中では違うことを考えていた。
きっとこれは痛みや出血のせいではないか…と。
まるで、肉の塊のようになったむきだしの足は直視し難い程、無残な姿になっていた。
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