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終わりなき旅立ち
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何をするでもないひどく退屈な日々…
近くに住んでいる人がいるのはわかってる。
(でも、どんな人ともわからない人に何を話せば良いっていうの?)
やはり、ジョゼットは誰かの家を訪ねる気にはなれなかった。
(そうだわ。お掃除でもしようかしら。)
そうは思ったが、どこを探してもほうきも雑巾もない。
だからこそ、この部屋はこんなに汚いんだと今更ながらに理解したジョゼットは、しばらく雑然とした部屋の中を眺め、そのうち、掃除のことは諦めて、ソファに腰かけた。
それと同時に舞いあがる埃にも、もうずいぶんと慣れてしまった自分に呆れる。
(ここは、なんて退屈な所なのかしら…)
外に出れば、少しは気晴らしになるかと思ったが、何も楽しいことはなかった。
いつ見ても真っ暗な空…
目新しいことも何一つみつからない。
(まるで、私の心の中みたいだわ…)
真っ黒い空を見上げて、ジョゼットは心の中で呟いた。
ジョゼットは、歩く。
ただ、ひたすらに…
途中で家をみつけても、もう中をのぞくことはしなかった。
人が住んでいようが住んでいまいが、そんなことはジョゼットにとってはどうでも良いことだったから。
*
どのくらい歩いたのかわからない。
ある家の前に差し掛かった時、扉が開き、中から一人の男が現れた。
「あ……こ、こんにちは!」
「こ、こんにちは!」
ジョゼットが挨拶を返すと、男はとても嬉しそうな顔をに向けた。
「ありがとう!!
返事をしてもらえたのは、ものすごく久しぶりだよ!
もしかしたら、君は最近ここに来たの?」
「え…ええ…
そうね。割りと最近だわ。」
「やっぱり…
あ、そうだ!
僕はローランっていうんだけど、君は?」
「わ…私は………」
「ごめんね。いやなら言わなくて良いんだ。
でも…あの…良かったら…少しだけで良いから話をしてもらえないかな?」
「……いいわよ。」
「ありがとう!!」
ローランの晴れやかな笑顔に、ジョゼットの心は和んだ。
(ここにもこんな人がいるのね…)
人懐っこい笑顔のローランは、年はジョゼットより幾分若いくらいだろうか?
華奢な身体に真っ白な肌をしている。
とても丈夫そうには見えないが、表情だけはとても明るい。
近くに住んでいる人がいるのはわかってる。
(でも、どんな人ともわからない人に何を話せば良いっていうの?)
やはり、ジョゼットは誰かの家を訪ねる気にはなれなかった。
(そうだわ。お掃除でもしようかしら。)
そうは思ったが、どこを探してもほうきも雑巾もない。
だからこそ、この部屋はこんなに汚いんだと今更ながらに理解したジョゼットは、しばらく雑然とした部屋の中を眺め、そのうち、掃除のことは諦めて、ソファに腰かけた。
それと同時に舞いあがる埃にも、もうずいぶんと慣れてしまった自分に呆れる。
(ここは、なんて退屈な所なのかしら…)
外に出れば、少しは気晴らしになるかと思ったが、何も楽しいことはなかった。
いつ見ても真っ暗な空…
目新しいことも何一つみつからない。
(まるで、私の心の中みたいだわ…)
真っ黒い空を見上げて、ジョゼットは心の中で呟いた。
ジョゼットは、歩く。
ただ、ひたすらに…
途中で家をみつけても、もう中をのぞくことはしなかった。
人が住んでいようが住んでいまいが、そんなことはジョゼットにとってはどうでも良いことだったから。
*
どのくらい歩いたのかわからない。
ある家の前に差し掛かった時、扉が開き、中から一人の男が現れた。
「あ……こ、こんにちは!」
「こ、こんにちは!」
ジョゼットが挨拶を返すと、男はとても嬉しそうな顔をに向けた。
「ありがとう!!
返事をしてもらえたのは、ものすごく久しぶりだよ!
もしかしたら、君は最近ここに来たの?」
「え…ええ…
そうね。割りと最近だわ。」
「やっぱり…
あ、そうだ!
僕はローランっていうんだけど、君は?」
「わ…私は………」
「ごめんね。いやなら言わなくて良いんだ。
でも…あの…良かったら…少しだけで良いから話をしてもらえないかな?」
「……いいわよ。」
「ありがとう!!」
ローランの晴れやかな笑顔に、ジョゼットの心は和んだ。
(ここにもこんな人がいるのね…)
人懐っこい笑顔のローランは、年はジョゼットより幾分若いくらいだろうか?
華奢な身体に真っ白な肌をしている。
とても丈夫そうには見えないが、表情だけはとても明るい。
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