あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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十字架の楽園

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働くとその報酬としてお金がもらえる。
ジョシュアと二人で一生懸命働けば、もっと良い家にも住めるし、もっとおいしいものだって食べられるようになる。
二人で心を一つにして頑張ろう!と話し合い、そのことからジョシュアとも仲良くなれた…そう思っていたのだけど、そんな毎日は長くは続かなかった。
生活が安定してくるにつれ、だんだんとジョシュアは働かなくなっていった。
それだけならまだしも、ジョシュアは私が稼いできたお金をギャンブルとお酒に注ぎ込んでしまう。
そのことで私達はしょっちゅう言い争いをするようになった。

そんな時、ジョシュアは決まってこう言った。
「おまえのせいで、俺も母さんも寂しい想いをしたんだ。
母さんが死んだのも、こんな生活になったのも、全部おまえのせいなんだ!」と…
そう怒鳴るジョシュアの瞳は怒りと寂しさと絶望が入り混じったような…とても哀しい瞳で、私はまっすぐに彼を見る事が出来なかった。



ある日、ミッシェルさんが私を教会へ連れて行ってくれた。
ミッシェルさんはとても気の付く人だから、私が最近少し沈んでいたことに気付いたのではないかと思う。
教会のことはもちろん知ってはいたけれど、神なんてものは心の弱い人間が心の拠り所にするもので、本当に存在するものではなく、祈ることも精神を落ちつかせるためだけのもので科学的な根拠のあるものではないと博士達は言っていた。
だけど、私にとって教会はとても居心地の良い場所で、いつしか私は事ある毎に教会に通うようになっていた。
自分の心のもやもやを神父さんに聞いてもらうと、それだけで晴れやかな気持ちになれた。
その反面、神父さんの話を聞く度に、私は自分の出生のことがとても気にかかるようになっていた。
私が、博士達に作られ人間として生まれてきたことがとても重い罪のように感じられた。
私はここにいて良いのか…
このまま生きていて良いのか…そんなことを悩むようになっていた。 
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