116 / 406
日記帳
3
しおりを挟む
「そうです。
これはそこらで売ってる日記帳とはまるで違う特別なものなのです。」
「特別って…どう特別なんだよ。」
得体の知れぬ気味悪さのようなものを胸に感じたランディに、男は、下を向いておかしそうに肩を震わせる。
「なぜ笑う!?
何がおかしいんだ!」
「いえ…あなたは、ギャンブルがお好きなようでしたから、きっとこの日記帳を喜んで手にされると思っていたものですから…
あなたがそれほど臆病……いえ、失礼しました。」
「俺は臆病者なんかじゃない!」
ランディは男に心の中を見透かされたような気がして、半ば意地になって男の手から日記帳を引っ手繰った。
「本当にそれを受け取られるのですね?」
「あぁ、受け取るとも。
何も書かないで良いなんて、こんな楽な日記帳はないじゃないか。」
息まくランディに、男は満足げな笑みを見せた。
「そうですか…では、その表紙の上に片手を乗せて下さい。
どちらでもあなたのお好きな方の手をどうぞ…」
言われるままに、ランディは右手を乗せた。
「おめでとうございます、これでこの日記帳はあなたのものです。」
その言葉は丁寧だったが、どこか薄気味の悪さを感じ、ランディは男の言う通りにしてしまったことをすでに後悔し始めていた。
「まずは、最初のページを開いてご覧なさい。」
戸惑うランディには少しも構わず、男はランディに指示をする。
「こ…これは…!」
ランディはそこに書かれている文面を見て、思わず上ずった声を上げた。
最初のページの上の方にはランディの生まれた日付が記され、見開きになった左と右のページには両親の名前やランディの生まれた時の状況が克明に書かれていたのだ。
「な、なんだって、こんなことが!
一体、いつから俺のことを調べてたんだ!」
興奮したランディは椅子をひっくり返して立ち上がり、店にいた客達はその様子にランディをじっとみつめた。
「……あ…
なんでもない。
驚かせて悪かったな…」
決まりの悪そうな顔でランディは謝り、転がった椅子を起こして座り直した。
これはそこらで売ってる日記帳とはまるで違う特別なものなのです。」
「特別って…どう特別なんだよ。」
得体の知れぬ気味悪さのようなものを胸に感じたランディに、男は、下を向いておかしそうに肩を震わせる。
「なぜ笑う!?
何がおかしいんだ!」
「いえ…あなたは、ギャンブルがお好きなようでしたから、きっとこの日記帳を喜んで手にされると思っていたものですから…
あなたがそれほど臆病……いえ、失礼しました。」
「俺は臆病者なんかじゃない!」
ランディは男に心の中を見透かされたような気がして、半ば意地になって男の手から日記帳を引っ手繰った。
「本当にそれを受け取られるのですね?」
「あぁ、受け取るとも。
何も書かないで良いなんて、こんな楽な日記帳はないじゃないか。」
息まくランディに、男は満足げな笑みを見せた。
「そうですか…では、その表紙の上に片手を乗せて下さい。
どちらでもあなたのお好きな方の手をどうぞ…」
言われるままに、ランディは右手を乗せた。
「おめでとうございます、これでこの日記帳はあなたのものです。」
その言葉は丁寧だったが、どこか薄気味の悪さを感じ、ランディは男の言う通りにしてしまったことをすでに後悔し始めていた。
「まずは、最初のページを開いてご覧なさい。」
戸惑うランディには少しも構わず、男はランディに指示をする。
「こ…これは…!」
ランディはそこに書かれている文面を見て、思わず上ずった声を上げた。
最初のページの上の方にはランディの生まれた日付が記され、見開きになった左と右のページには両親の名前やランディの生まれた時の状況が克明に書かれていたのだ。
「な、なんだって、こんなことが!
一体、いつから俺のことを調べてたんだ!」
興奮したランディは椅子をひっくり返して立ち上がり、店にいた客達はその様子にランディをじっとみつめた。
「……あ…
なんでもない。
驚かせて悪かったな…」
決まりの悪そうな顔でランディは謝り、転がった椅子を起こして座り直した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる