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贈り物配達うさぎ
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「ボ、ボク…やってみるよ!
正直言うと、毎日退屈でたまらなかったんだ。
仕事もやったことないし、ここじゃボクは一生仕事をすることなんてないだろうからね。
それに、ボク、いろんな世界を見てみたい!」
元々、好奇心旺盛なラパンは真っ赤な瞳をきらきらと輝かせ、老人をみつめて長い前歯を見せた。
「おまえならきっとそう言うと思っていたよ。
……では、まず、これをジュリアンという男の元へ配達しておくれ。
それがおまえの初仕事じゃ。」
老人は、どこに持っていたのか、小さなメダルをラパンのふかふかの手の平に乗せた。
「わかったよ。
これを届ければ良いんだね?
……でも、どうやって、その人の所へ行けば良いのさ?」
「うさ公、その帽子をそこへ置いてみるんじゃ。
そして、中をのぞいてみなさい。」
「これを…?」
ラパンは不思議に思いながらも、老人に言われた通りに帽子を置いて、その中をのぞきこむ。
その時、老人が後ろからラパンの背中を軽く押した。
「わっっ!」
短い悲鳴と共に、ラパンの身体は頭から帽子の中に吸い込まれていった。
「うさ公!帽子を忘れるな。」
老人がそう叫ぶと、中から白いふかふかの手がのぞき、帽子のつばを掴んで帽子もその場から消え去った。
(無事に出発したようじゃな…)
何もなくなったその場所をみつめ、老人は頷きながら嬉しそうに微笑む。
これから先、ラパンが届けるたくさんの贈り物、そして、ラパンがみつけるたくさんの幸せに想いを馳せながら…
~fin~
正直言うと、毎日退屈でたまらなかったんだ。
仕事もやったことないし、ここじゃボクは一生仕事をすることなんてないだろうからね。
それに、ボク、いろんな世界を見てみたい!」
元々、好奇心旺盛なラパンは真っ赤な瞳をきらきらと輝かせ、老人をみつめて長い前歯を見せた。
「おまえならきっとそう言うと思っていたよ。
……では、まず、これをジュリアンという男の元へ配達しておくれ。
それがおまえの初仕事じゃ。」
老人は、どこに持っていたのか、小さなメダルをラパンのふかふかの手の平に乗せた。
「わかったよ。
これを届ければ良いんだね?
……でも、どうやって、その人の所へ行けば良いのさ?」
「うさ公、その帽子をそこへ置いてみるんじゃ。
そして、中をのぞいてみなさい。」
「これを…?」
ラパンは不思議に思いながらも、老人に言われた通りに帽子を置いて、その中をのぞきこむ。
その時、老人が後ろからラパンの背中を軽く押した。
「わっっ!」
短い悲鳴と共に、ラパンの身体は頭から帽子の中に吸い込まれていった。
「うさ公!帽子を忘れるな。」
老人がそう叫ぶと、中から白いふかふかの手がのぞき、帽子のつばを掴んで帽子もその場から消え去った。
(無事に出発したようじゃな…)
何もなくなったその場所をみつめ、老人は頷きながら嬉しそうに微笑む。
これから先、ラパンが届けるたくさんの贈り物、そして、ラパンがみつけるたくさんの幸せに想いを馳せながら…
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