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僕の大切な黒猫
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「兄さん、どこ?
どこにいるんだい?」
ロザリオがみつからないまま、時間だけが流れていって、僕の心がどんどん重くなり始めたある日……
いつもなら、僕の部屋にいるはずの兄さんの姿が見当たらなかった。
仕事が済んだ後、僕は母さんとちょっとした用事で近所まででかけた。
兄さんとは出来るだけ一緒に居るようにしてるんだけど、すぐに戻って来るつもりだったから、部屋に置いていったんだ。
ところが、おしゃべり好きのおばさんに捕まって、考えてたより戻るのが遅くなって……
「兄さん…どこだい?」
大っぴらに兄さんを呼ぶわけにはいかないから、小声で呼びながら、僕は家の中を探して周った。
だけど、兄さんはどこにもいない。
兄さんだけじゃない。
父さんもいなかった。
それが、僕には酷く気にかかった。
(まさかとは思うけど……)
胸騒ぎを感じて、僕は庭に飛び出した。
「あ、父さん!
兄……ぼ、僕の黒猫見なかった?」
「黒猫…?
そういえば、さっき花壇の側でみかけたぞ。
まさか、あいつ、あんな所でトイレをしてるじゃないだろうな。」
「そんなことしないよ!」
僕は、そう言い残して、花壇の方へ駆け出した。
「兄さん!」
「ふみゃー!」
兄さんの様子がおかしい。
必死でなにかを言いたがってるけど、残念ながらいくら兄弟でも猫の言葉はわからない。
僕は、慌てて兄さんの身体を調べてみた。
幸いなことに、どこにも怪我をした様子はなくて、僕はほっと胸を撫で下ろした。
だけど、それから兄さんは数日間ふさぎ込んで、食事も採らなかった。
きっと、なにかがあったんだ。
それにはきっと父さんが関わってる……
父さんには気をつけなくては。
父さんは、動物が嫌いなんだから。
兄さんが酷い目にあってからでは遅いんだ!
「兄さん、どこ?
どこにいるんだい?」
ロザリオがみつからないまま、時間だけが流れていって、僕の心がどんどん重くなり始めたある日……
いつもなら、僕の部屋にいるはずの兄さんの姿が見当たらなかった。
仕事が済んだ後、僕は母さんとちょっとした用事で近所まででかけた。
兄さんとは出来るだけ一緒に居るようにしてるんだけど、すぐに戻って来るつもりだったから、部屋に置いていったんだ。
ところが、おしゃべり好きのおばさんに捕まって、考えてたより戻るのが遅くなって……
「兄さん…どこだい?」
大っぴらに兄さんを呼ぶわけにはいかないから、小声で呼びながら、僕は家の中を探して周った。
だけど、兄さんはどこにもいない。
兄さんだけじゃない。
父さんもいなかった。
それが、僕には酷く気にかかった。
(まさかとは思うけど……)
胸騒ぎを感じて、僕は庭に飛び出した。
「あ、父さん!
兄……ぼ、僕の黒猫見なかった?」
「黒猫…?
そういえば、さっき花壇の側でみかけたぞ。
まさか、あいつ、あんな所でトイレをしてるじゃないだろうな。」
「そんなことしないよ!」
僕は、そう言い残して、花壇の方へ駆け出した。
「兄さん!」
「ふみゃー!」
兄さんの様子がおかしい。
必死でなにかを言いたがってるけど、残念ながらいくら兄弟でも猫の言葉はわからない。
僕は、慌てて兄さんの身体を調べてみた。
幸いなことに、どこにも怪我をした様子はなくて、僕はほっと胸を撫で下ろした。
だけど、それから兄さんは数日間ふさぎ込んで、食事も採らなかった。
きっと、なにかがあったんだ。
それにはきっと父さんが関わってる……
父さんには気をつけなくては。
父さんは、動物が嫌いなんだから。
兄さんが酷い目にあってからでは遅いんだ!
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